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石井 斉「海が見えたら」(「民主文学」16年9月号)

 ジッドの「狭き門」についてジャック・リヴィエールなる評論家が次のように言っている。
 <これについては語りたくないほどな書物、読んだことさえ人に話したくないほどな書物、あまりに純粋であり、なめらかなるがゆえに、どう語っていいかわからないほどな作品、これこそまさに一息に読まれることを必要とする作品。愛をもって、涙をもって、ちょうどアリサがある美しい日に、ぐったりと椅子に腰をおろして読むように>

 石井斉の「海が見えたら」はまさにそういう作品である。あまりに美しいのでどう語っていいかわからない作品だ。事実上語りようもない作品なのである。というのは要約したところで作品の良さを伝えることはとうてい不可能だから。
 これは一編の詩だから、読んで味わうしかない。そういう作品である。
 そういう作品だが、一言だけ書くと、その純粋さに飲み込まれてしまうと、作者が作品をいかに巧みに構成しているかが見えなくなる。二重にも三重にも時間を行きつ戻りつして重ね合わせていく、そのオーケストラを思わせるような構成は見事である。文章も美しい。言うことなしだ。
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