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藤井登美子「天明の篝火」

 出版社名がないので自費出版のようだ。以前から気になっていたのだが、郷土史研究会が招んで、29日の総会で講演することになったので、いい機会と思って急ぎ読んだ。
 天明年間の備後福山の百姓一揆を書いている。1780年代、フランス革命の頃である。江戸時代に全国で起こった千数百件の一揆の中で特筆すべきものと言われる。数万人が決起して30項目の要求をすべて呑ませ、全面的な勝利を獲得、しかも一人の犠牲者も出さなかったという。すばらしく組織だったたたかいだったらしい。だがその首謀者が分からない。研究者たちのあいだにさまざまな説が展開されてきた。
 作者は一揆の直後に病死した一人の庄屋に注目し、彼の在所近辺で聞き込みを重ねる。そしてその人物徳右衛門は阿部の殿様に殺されたという伝承に出合う。
 作者はここから想像力を駆使し、残された記録と重ねあわせながら一つの物語を作り上げた。若いころサルトル演劇を上演していたという作者らしく、人物たちの悩み生き方を模索していく姿が、まさに実存主義の人間像である。
 小説も大変面白いが、史実にも興味を引かれる。巻末に付した参考文献を見ると、この福山という一地方の江戸時代に関して膨大な資料があるという事実にも改めて目を開かされた。
 いまさらどこまで関与できるか心もとないが、暇を見つけて読んでいきたいと思う。
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