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「1984年」ジョージ・オーウェル

 数十年前に読んだきり読み返していないので、細かいところはたいがい忘れたが、それでもジョージ・オーウェルの「1984年」は、数年前に読んだ村上春樹の「1Q84」よりも強い印象を残している。そこにはオーウェル作品の強烈な独自性がある。この小説は読者を深い絶望の淵に置き去りにする。
 スターリン体制下のソ連がモデルになっているのは明らかだが、そればかりではなく、資本主義国家をも含めて、近代国家の管理・教育社会の怖さを描き出した。
 あやふやな記憶で書くが、以下がぼくの記憶している「1984年」である。
 主人公は、この管理社会に対して初めから反抗的だったわけではない。ごく普通に社会に溶け込んで暮らしていた。そこに女性が絡んできてストーリーが展開し、さまざまないきさつを経て、やがて危険人物としてマークされるにいたり、結局逮捕される。
 そのまま反逆者として処刑されるなら、それは読者に感動と希望を与える平凡な作品となっただろう。
 オーウェルはそうはしなかった。
 管理社会はこの囚人をねちねちと教育してかかる。やがて教育の成果が表れ、囚人はついに自分の過ちを悟り、悔い改め、正しい道にもどれたことに感謝し、歓喜し、そしてその瞬間に処刑されてしまう。
 この結末の前に読者は茫然とたたずむしかない。ここにはまったく救いがない。ただ絶望だけである。だが、この絶望は、管理とか教育とかいうものの恐ろしさを、これ以上はないリアリズムでもって読者の眼の前にさらす。
 名作としか言いようがない。
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