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「渚にて」ネビル・シュート

 禁煙でまわらない頭を援けるために、ブランデーをちびちび舐める。妻ががみがみ言いながらも買ってくる。その妻が自分ではブランデーをオンザロックしようとする。ブランデーの飲み方はそうではないといっても聞かない。先日、娘夫婦が来ていた時にその話になり、「だが、ブランデーをオンザロックする人物がじつはいるのだ」ということで、「渚にて」を紹介した。紹介したのはいいのだが、途中で涙が湧いてきて、しゃべれなくなってしまった。
 もともと涙もろいたちだが、齢とともに極端になってきた。感動的なことをしゃべろうとすると、涙が出てきてしゃべれなくなる。これでは人前でしゃべれないので直さねばならないのだが、難しい。
 ところが涙に驚いたからだろうか、娘婿が、「渚にて」を読み始めたとハガキをくれた。うれしい誤算だった。
 核戦争のために北半球では人類は絶滅した。戦争の理由はまあどうでもよい。放射能がオーストラリアに迫っている。いずれ全滅はまぬかれない。残された日々を人々はどう生きようとするのか。小説は彼らの日常生活を坦々とした筆致で綴っていく。
 ちなみにブランデーをオンザロックするのは、アメリカ海軍の潜水艦長と親しくなる牧場主の娘で、ぐうたらな生活を改めて、(明日なんかないのに)明日のために勉強を始める。
 金持ちクラブの老いた会員は、クラブにある膨大な高級ワインを残して死ぬわけにはいかないと、それをすべて飲み干す義務を几帳面に果たそうとする。
 そして若い父親母親たちは、子供たちを残して死ぬわけにはいかない。彼らに毒を盛るタイミングを計る。間違えれば、残された子供たちは悲惨な死を迎えることになる。
 冷静に準備する父親と、それに耐えられない母親。
 そして明日なんかないのに、皆、明日があるようなふりをして一日一日を過ごす。
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