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浅野尚孝「きみのとまり木」(「民主文学」15年3月号)

 仕事の話にひかれて読みはじめたら、女の子との変哲もない会話になって、それが長々と続いていく。うわ、この調子でずっと続いていくの、と思いながら我慢して読んでいると、だんだん女の子が謎めいてくる。そのへんから引き込まれて読んだ。
 読み終わってみると、印象の強い作品である。
 石井斉の作品同様、心を病んだ人を描いている。男の方にもそういう経験があったと書かれているが、小説の現時点では男には異常はなく、女の方だけがどこかおかしい。
 石井斉が書いた「久美」とはまるで違うタイプだ。「久美」は夫である「智」を頼りにしている。「智」にとっても「久美」は生きる支えだ。
 だが、浅野尚孝の「長谷川奈波」は誰も頼らない。一人で耐えている。極北の地に一人ですっくと立っているが、その心はガラスでできている。硬質だが、いつか壊れる。
 非常に感銘深い作品である。はじめの方の退屈な描写が、わざとそういうふうに書いているのだということがよく分かる。この「奈波」という女性の姿を説明なしに読者の前に連れ出して来ようとしているのだ。
 最後は自殺未遂を起こした女を救い出した男のもとに女の姉がやってきて、冷たく去っていく。「奈波」がどういうなかで生きてきたのかを知った男は彼女を支えなければと思う。それで終わりである。それ以上何もない。もちろんそれ以上は必要ない。
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431:管理人のみ閲覧できます by on 2015/02/13 at 20:47:57

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