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最上 裕「さくらの雲」(民主文学15年1月号)

 連載の第1回である。連載物のいくつかを、終わった時点でまとめて読もうとして、結局、読み損ねた。で、できるだけ毎月読んでいくことにした。
 なかなか上々の出だしである。伏線を大量にばらまいて、ここからの進展を期待させている。
 この作家は、「陸橋を渡る足音」でシステムエンジニアを描いて労働の描写に精彩があった。作者もたぶんそうなのだろう。今回の主人公は若い女性だが、やはりシステムエンジニアで、仕事の話になると、作者も、作品も、登場人物も生き生きしてくる。つぎつぎと出てくる英語が、すべてこちらにわかるわけではないのだが、雰囲気は伝わってくる。やはり経験したことを書くというのは強みなのだ。
 一方で、「美幸荘」で、ちょっと通俗風な小説の能力も見せた作家である。今回人物描写、話の展開の仕方で、そういう傾向をふんだんに出している。これは議論になるかもしれないが、ぼくとしては期待したい。
 難点がひとつ。現在といくつかの過去とを行き来する。それはかまわないのだが、少しわかりにくい。たとえば、14ページ下段1行目、<二人は、公園を後にした>を読んで「え、この二人って誰のこと?」と思ってしまった。ここは11ページまでさかのぼって、さくらが宏美と弁当を食べている場面なのだ。その場面からすぐほかの場面に切り替わって、3ページ以上も経ってからいきなり<二人は>とやられてもこれは無理だ。時間の行き来をわざとぼかすことで文学的効果をねらう場合もある。だが、この作品の場合、そういう効果とは無縁で、不必要なわかりにくさだろう。
 ちなみに、「さくら」は主人公の名前だが、「雲」はいまのところクラウドである。パソコン用語だ。たぶん、だんだんいろいろな意味になっていくのだろう。
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