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秋元いずみ「真夏の夜」(民主文学15年1月号)

 聞き覚えのある名前だったので、自分のブログ内を検索したら、去年の7月14日の「吉良よし子」の記事に登場していた。記事の中で触れた、その年の民主文学6月号の座談会に参加していた。元民青岐阜県委員長、去年の時点で34歳、民主文学には珍しく、非常に若い作家だ。(ちなみに、ぼくのブログ記事に拍手がつくことは滅多にないのだが、この記事には例外的に12個の拍手がついている。吉良よし子はすごい人気だったもんね)。
 秋元いずみも若いが才能のある作家だ。医学現場のかなり専門的分野を描き、難しい問題を追及しながら、読者を飽きさせない。民主文学が面白くないという人は、せめてこの作品だけでも読んでみてほしい。ぐいぐいと引き込まれる。
 すでに意識のない患者である。点滴では栄養が十分取れずに死期が早い。胃瘻なら、寿命を延ばすことはできる。患者の娘がそれを希望した。普段は介護施設にいる。しばしば肺炎を起こす。その都度運ばれてきて治療する。治療すれば一応治る。直ればまた介護施設に戻る。その繰り返しである。いまでは娘もお任せしますといって寄り付かなくなった。主治医は研修医三年目の青年だ。自分はいったい何をしているのだろうと思い悩む。
 ずっと大学病院にいる父親は、「お荷物な患者のことをとやかく考えずにきちんと自分の仕事をできるようにしろ」と言い放つ。
 大学同級生のさわやか青年は、「哲学は哲学者にまかせろ。おれたちは医者だ」という。
 それぞれに決して不正解ではない。だが主人公は思い悩まずにいられない。
 指導医は、「それは答えがないんだよ」という。「答えがないなら考えるのは無駄ですか」と問おうとした主人公に指導医は、「答えがないからこそ、考え続けるしかないだろう」といって、患者のもとに行くように促す。
 まさにそうだ。それを理屈としてではなく、現場に立って描き出したからこそ小説なのだ。
 そしておそらく答えがないにもかかわらず考え続けるしかないのは、医学の問題だけではない。社会も政治もみんなそうだ。答えがないからこそ、誰も前に進めることができないでいる。答えが分かっているなら問題はとっくに解決しているだろう。だから、考え続けるしかないのだ。
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