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Yの悲劇 三四郎

 何もやる気がしないので、二三日、「Yの悲劇」に浸っていた。18か9のころ読んだきりだから半世紀ぶりだ。かなり鮮明に覚えているつもりだったが、じつは覚えていたのはほんのところどころで、大部分忘れていた。記憶に残っていたよりもずっと豊かな小説だった。
 もちろん娯楽小説である。でも何もないかというとそうでもない。遺伝や環境に起因する犯罪をどう断罪できるのかという地点に立って、ドルリー・レーンが苦悩するからである。
 でも基本的に娯楽小説として読める。そして娯楽は文化なのだということを、いまさらながらに感じさせられるのだ。

 朝日新聞では「三四郎」の再掲が始まった。これを最初に読んだのは15のときだが、たぶんそののち二度ほどは読みなおしたと思う。でも事実上これもほとんど半世紀ぶりだ。
 やはり「こころ」とは全然違う。「三四郎」は名作である。これに比べたら「こころ」は作文のようなものだ。
 どこがどう違うのかと問われると難しいのだが。

 いま何事にもとても本気になれないのは、煙草の禁断症状である。これがいつまで続くのか、はたして生きているあいだに問題は解決するのだろうかと危ぶんでいる。
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