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浪人さんへ モーム「雨」

 2000字小説へのコメントありがとうございました。おかげでこのブログが小説ブログであることを思い出しました。もともとそういう感想を書いていただき、それによって書き直していこうというのがブログの目的だったのです。
 自分では書いたつもりのないことを読みとったと言われるのも、新鮮な経験です。またこれこそ読みとってほしいと思っていたことをズバリ読みとっていただけるととてもうれしい。
 最初に発表した時点で笹本さんが感想を書いてくださっていますが、その感想をもとに書き直したものが現在の原稿になっています。何度かやりとりがあって、数回にわたって書き直したものもあります。その経過における笹本さんの感想は、そのつどのメッセージのなかにはコメントとして残っているはずですが、すでに書き直されている原稿本体へのコメントには最初の感想しか残っていないので、原稿とコメントとに食い違いがあるだろうと思います。
 自作に対して作者は黙っているのが賢明なのですが(作者の意図以上のものを読みとって下さった読者をがっかりさせることになりますので)、「雨」に関してはことさら読みとりにくかったようなので、ひとこと書きます。
 この40代の医者とはモームの「雨」の作中人物で、その語り手なのです。売春婦と牧師のあいだに立って、物分かりよく、同情的で、有能で、理性的な好人物として行動しますが、基本的に傍観者です。売春婦と牧師とはどちらも気ちがいじみた人物で、その二人に対する対照的な人物として描かれています。
 ぼくの「雨」のヒロインにとって、この雨の日の喫茶店での待ち合わせは、「もうひとつ決定的になったと思われること」と言っていますから、たぶん通常のデート以上の意味を持つものだったのです。そしてそこに現れない青年に対する失望が、彼をモームの医者と対比させます。結局口先だけの偽善者じゃないかという感想を、たぶん好人物のこの青年に対して一時的に抱くのです。(これが作中にまったく書かれていないので、そこまで読みとれというのは無理ですよね)。作者としてのぼくの意図では、ここには人生へのヒロインによる洞察の始まる契機があります。ところが青年が遅れただけで結局現れると、ヒロインはそういった思索をころりと投げ出してしまう。ただの可愛い女に逆戻りしてしまいます。このテーマは次の「鐘」とつながっているのです。常に身近な問題に規定されてしまう人間存在というものを、肯定でもなく否定でもなく書きたかったのです。
 そういうことを、モームに敬意を表して、天候の変化と人間心理の連動として書いてみました。世界は常に悲劇に満ちていますが、それでも我々には我々の日々の生活があり、我々だけの喜び悲しみがあります。誰しもこれを否定することはできません。そういう問題がずっとぼくのテーマなのです。
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コメント
380: by 浪人 on 2014/10/13 at 17:28:22

そうですね。余計なことを申しました。私もこわごわここに書かせていただいています。

378:浪人さんへ by 石崎徹 on 2014/10/12 at 22:23:06 (コメント編集)

 コメントありがとうございました。面白い提案ですね。ただ、ぼくはネットにはあまり多く期待していません。いま程度でちょうど良いと思います。

376:雨について、その他 by 浪人 on 2014/10/12 at 18:02:39

モーム「雨」、お恥ずかしいことにやっと今日初めて読みました。良かったけど、なぜ、自分がこの人の作品を今まで読んで無かったのか(最大の理由は怠慢ですが…それはおくとして)も何となくわかりました。おっしゃるように、描かれているのは相手によって変わる「人」だと思います。それは私から見ると、ある種の有能さに思えるのです。情けない話ですが、登場人物全員のすごさに圧倒されます。だから自分には縁遠く感じられるのだと思います。
 作者が作品を載せ、コメントをしたり、作者が解説したりするという、合評のできるネットの場ができれば面白いと思います。
 短歌だとすでにかなりネット歌会があり、生身の歌会とは違う機能があります。いずれ、ネット同人誌というのもできるかもしれません。それがいいのかどうかは今一つわかりませんが、便利は便利だと思います。

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