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アンデルセン「雪の女王」

 40数年前、この本を初めて読んだとき、ほかに「氷の女王」「人魚姫」「マッチ売りの少女」などが一冊に入っていた。今回図書館から借りてきたら、この一作だけだ。たぶん、以前の本はもっと分厚く、挿絵もなく活字ももっと小さかったのだろう。
 ところでアンデルセンをウィキペディアで引いても「氷の女王」はない。タイトルの記憶違いだろうか。登場したのは確かに氷の女王だったのだが。タイトル名がわからないので「氷の女王」で通す。
 借りてきたのは、もちろん「アナと雪の女王」のせいである。関心がなかったのだが、5才の孫が毎日主役になりきって歌いまくると言うので、にわかに興味が出てきて映画を見てきた。だが主題歌を歌うのはじつは主役のアナではなく、姉の女王エルサである。
 歌う場面はエルサが絶望と孤独の果てに、「ありのままに」生きようと決意し、氷の城を作って閉じこもるという悲劇のクライマックスシーンで、これはアナの活躍によって後に否定されることになる。物語全体としてはハッピーエンドである。
 にもかかわらず、let it go を歌うこの場面は圧倒的に印象的である。悲劇の、人を揺り動かす力はハッピーエンドよりはるかに強い。この場面を作り上げたことでこの映画は記憶に刻みこまれる。
 映画についてもうひとつ言うと、今回吹き替えで見たのだが、翻訳が従来の翻訳口調ではなく、くだけた現代少女言葉になっており、新鮮さを感じた。
 さてぼくの記憶のなかでは、「雪の女王」と「氷の女王」がごっちゃになっており、カイとゲルダの名前は忘れることがないが、そのストーリーは悲劇として覚えていた。「アナと雪の女王」のストーリーはまったく違うので、カイとゲルダの物語は「氷の女王」のほうだったかなと思いつつ確かめるために図書館へ行った。だがそうではなく、カイとゲルダは「雪の女王」だった。雪の女王に魅せられて人間的感情を失ってしまったカイを、ゲルダの愛情が救い出す話で、ほとんどゲルダの冒険談である。カイはただ救い出されるのを待つだけの存在だ。このストーリーはほとんど記憶から消えていた。ぼくの記憶に残っているのはたぶん「氷の女王」のほうで、その主役をカイとゲルダにしてしまっていたようだ。もっとも「氷の女王」が手にないので、確かめようがない。
 ぼくの記憶のなかで物語はこうなる。愛しあう男女がいたが、男のほうが女王に魅せられてしまう。愉悦の時を過ごしたのち、男は後悔し、もとの女との日々が大切なものだったことに気付くが、もう遅い。男は人生の大事なものを永遠に失ってしまう。
 そこにはもはや何の希望もない。完全な悲劇である。そして悲劇は40数年たってもなお新鮮である。悲劇のなかには人の心を揺り動かすに足るものがたしかにある。それは日本民話の「雪女」の物語に通じるものかもしれない。
 40数年前に読んだ本には、「人魚姫」といい、「マッチ売りの少女」といい、悲しい話ばかりが詰めこまれていた。しかしそれは確かに人の心を豊かにするものであるだろう。
「雪の女王」は今回読み直してみると例外的にハッピーエンドだった。それは悲劇ほど心に残らない。
 ただ、このゲルダ像はかなり積極的に受け止められているようだ。ウィキペディアによると、第二次大戦後間なしにソ連が作ったアニメの評価が高く、そのゲルダ像に宮崎駿が衝撃を受けたという。そういえばナウシカの原型と言えるかもしれない。
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