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雨の日の雑感

 雨に降り籠められた五月。それがいっそ清々しい時もあるのだが、今日はなんだか鬱陶しい。やる気が出てこない。
 といっても、晴れたら晴れたで、こんな日に書けるか、と思ってしまうに決まっている。どうやら、サボる口実を探している。
 心が動かないときは身体を動かせ、と誰かの言葉に倣って、晴れの日は普段放りっぱなしの庭仕事に精を出すのだが、今日はそれもならない。
 原稿を目にするのを恐れているらしい。なんて下手な原稿だ、今日もこれをコツコツ直していくのか、となることを想像してうんざりしてしまう。
 というわけで、心が動かない日は雑文を書く。

 ブログを綴っている「サマトラケのニケ」というのはどういう方だろう。しょっちゅう旅行し、本を読み、音楽を聞き、画も描いているようだ。西洋古典を中心に膨大な読書目録がある。
 最近はプルーストの「失われた時を求めて」を読了し、今度は「源氏物語」と「ユリシーズ」にかかるという。
 うらやましい。ぼくはそのいずれも高校時代に読みかけて挫折した。
 うらやましければ読めばよいのだが、いや、読んでいる場合じゃない、書かねば、と思ってしまう。そのくせ書かない。

 何をしているのかというと、パソコン囲碁にハマっている。ぼくには依存症があるらしい。明日はもうしないぞと思っても翌日になればやはり同じことをしている。
 囲碁は20才の頃に少しやり、その後半世紀近くご無沙汰だった。当時は定石を並べてみたりして、一度並べると忘れなかった。今ではすべて忘れてしまって、もう何も頭に入らない。
 自己流のめちゃくちゃ囲碁である。
 しかし囲碁には不思議な魅力がある。それはつかみどころのない生き物のようだ。
 囲碁は対戦相手との対話であるというが、ぼくは対話が苦手なので上達しない。

 対話も苦手だが、「サマトラケのニケ」さんと違って、音楽と絵画もぼくの入りこめない世界だ。スポーツもそうだ。テレビ観戦もまずしない。
 ところが妻はサッカーとフィギュアスケートに目がなく、新聞でチェックしてテレビの前に座りこむ。とりわけフィギュアスケートがお気に入りだ。
 オリンピック前のシーズン、ぼくが日課の皿洗いを終えて台所から引き揚げようとしていると、隣接した部屋からテレビ解説者の声が聞こえた。今期の浅田真央は順調な仕上がりだから期待できると言っている。
 どのスポーツでも解説者がそう言ったときは不思議と選手が期待を裏切るというのが頭にあったので、ぼくはつい、「転ぶぜ」と言った。
 その瞬間、妻は「いらんこと言うな!」と怒鳴って立ちあがり、境の襖をピシャンと閉めた。ぼくは二階に引上げた。
 あとで「どうだった?」と訊いた。
 妻の怒りは一層激しくなっていた。
「転んだワ! あんたがいらんこと言うたから」
 ぼくのせいにされた。それ以来イランコトは言わないように用心した。
 オリンピックの時、3回転アクセルの点数が意外と低いのに気が付いた。
「成功してもこんな点かい? リスクをとる意味がないじゃんか。普通のジャンプだけやっとけばよかろう」
 と、ぼくはまたイランコトを言った。
 すると妻は、
「真央はトリプルアクセルで勝負したい。それはメダルよりも大事。あんたも、こんな小説は書きたくない、とかいうこだわりがあるんやろ? 真央にもこだわりがあるの!」
 ぼくはちょっと驚いた。彼女がぼくをそれなりに評価してくれているらしいことも嬉しかったが、真央を見直し、真央をそういう眼で見る妻も見直す気になった。
 以来、ぼくは真央も妻も尊敬している。

 しかし、コダワリとは、そのための努力がともなって初めて言えることだ。努力しないぼくには、コダワリなんてとても言えそうにない。
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