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推理小説ピックアップ

 推理小説もあまり読んでいないのだが、読んだ中で気に入った作品を上げてみる。

 ホームズは読んだのが40年前で再読していないので記憶が薄れているが、「恐怖の谷」がよい。事件の謎解きはすぐに終わってしまうが、そのあと事件の発端を追ってアメリカでの話になる。これがしゃれた仕掛けで、そうじゃないかと思いながら読むのだが、そのとおりになるのが、かえって爽快である。こういう仕掛けは後世たくさん出たような気がする。

 ルパンはどれもみな素晴らしいが、あえて選べば、「奇岩城」と「カリオストロ伯爵夫人」か。「奇岩城」は少年探偵とルパンの対決が読みどころ。「カリオストロ」は若いルパンと二人の女のからみが秀逸。特に女賊カリオストロ伯爵夫人の造形は逸品である。ほかには短編が忘れられない。もともと自然主義の売れない作家だったルブランが、雑誌の求めに応じて気軽に書いた短編がルパン第1作である。アメリカに向かう大西洋航路で若いルパンが逮捕されるまでのいきさつ。「恐怖の谷」に少し似たしゃれた仕掛けである。これで一気に人気が出たルブランは続きを書くことになる。その続きの何作かを江戸川乱歩が「怪人20面相」の何作かでそっくりまねしている。最後の短編で、ルパンはかつて大西洋航路で出会った女性に再会する。この場面の切なさが何ともよい。これもぼくの青春の書であった。

 エラリー・クイーンは、XYZと最後の事件も、国名シリーズも、文体の格調高さと、本格推理に惹かれてあらかた読んだが、人間的魅力と物語の面白さという点では難があった。かえって軽い文体で書いた「エラリー・クイーンの事件簿」のほうに親しみやすさがある。

 アガサ・クリスティ。彼女の作品はなんといっても登場人物の魅力だ。アメリカ帰りでイギリス社会になじめなかったこの内気な作家は、自分と正反対の勝気で社交的でおしゃべりで快活な女性を幾人も登場させ、実に魅力的に描いた。「私はただ読者が何を読みたいかを知っているだけです」と彼女は言ったが、それはまさに才能だ。ポアロものや、マープルおばさんものよりも、その若々しい作品のほうが記憶に残る。具体的には「七つの時計」のバンドルや「なぜエバンズに頼まなかったのか」のヒロイン(今その作品を探したが見当たらず、名前がわからない)。しかし、何といっても最高傑作は「終わりなき世に生まれつく」だろう。この作品も切ない。

 横溝正史にも独特の味わいがある。一番気に入った作品だけあげておく。「病院坂の首くくりの家」。

 東野圭吾は、「天空の蜂」では原発問題を、「片思い」では性同一性障害をあつかった。社会問題を扱うとき、彼は一般に流布している説をなぞることには終わらない。そこには彼独特の視角がある。「秘密」に描かれた心理も捨てがたい。しかしぼくが一番気にいっているのはやはり「放課後」と「同級生」である。「放課後」はトリックもいい。その上に、ケイという女子高校生が何とも魅力的なのだ。「同級生」は、途中まで読んだとき、「これはドストエフスキーか」と思ってしまった。半ばまでは罪と罰の物語なのだ。もちろんエンターテイメントであるから、最後はハッピーエンドになる。それがちょっともったいなく感じる。

 島田荘司も6冊ほど読んだ。そのかぎりでは、「北の夕鶴2/3の殺人」が強く印象に残った。

 こうして列挙してみると、結局推理小説といっても必ずしも謎解きに惹かれるわけではない。読者をひきつけるのは登場人物の魅力なのだ。
 
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