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松井 活さんへ

 おっしゃりたいことはわかりました。「労災隠し」の行なわれた理由が作品では明確でないので、推測せざるを得ない。そこで「派遣」や「請負」の問題に行きついてしまうということですね。
 そこがこの作品の大きな欠陥になっているということを気付かせていただきました。作品で設定した会社の場合はかなり悪質で極端なケースですが、そこまで行かなくても、ある程度はどこの現場でもやっていることです。そういう事例は豊富に耳にも目にもします。この会社はそれが慣例化してしまって何もかも隠してしまったケースです。そういうことを書き込むべきであった。それが書かれていないので、現場の状況を知らない読者にはとりわけ伝わらなかったのだと思います。誤解を生んだ根本原因が作者にあるということは認めます。
 それを認めた以上、ほかの件を問題としても枝葉末節になってしまうのですが、一応気になるところは指摘しておきます。
 松井さんは「渋井」を派遣とは読んでいないとおっしゃいますが、2月11日のコメント207で次のように書かれています。
「渋井の身分と業務内容が精査される結果として……二重派遣をしているという実態が明るみに出される」
 この個所を読んだので、松井さんも久野さんと同じ読み方をされたのだと思ったのです。
 なお、タチバナの製鉄所に対するありかたが派遣か請負かという法律論を書かれていますが、前回も書いたように、請負のありかたに抜けがあったとしても、そのことが問題なのではなく、その「抜け」を会社が意識しているかどうかが問題なのです。意識していなければ「労災隠し」の原因とはなりえないのですから。
 もちろん隠す理由が明確に書かれていないので、どこかに理由を探そうとしてくださった結果なのだろうと思います。ぼくとしては柴田と直木との会話(松井さんの引用された部分です)のなかで示唆したつもりだったのですが、読者に納得のいくものではなかったようです。なお、上記引用部分も偽装請負の証拠として挙げられていますが、くりかえしますが、偽装の法律論が問題なのではなく、それが認識されていたかどうかが問題なのです。認識されていないものが理由となるはずがありませんから。
 現場での法律の運用があいまいで、抜けだらけである現実を書いたつもりです。経営サイドも労働者もよく分かっていません。まして親会社の現場担当者には何もわかっていません。彼らは自分の作業や職務に一生懸命なのです。
 あなたがいくら「解せません」と書いても、問題は解せるかどうかではなく、現実はこうだということです。
 だが、これらは先に書いたようにすべて枝葉末節です。何度も書くとおり、すべては「労災隠し」の原因を読者に分かるように書かなかったぼくの責任です。その原因が伝わらなかったので、読者としては書かれていないところに無理に原因を見つけ出さねばならなかった、そこから物事が紛糾してしまったので、すべては作者の責任として受け取ります。

 別件になりますが、どうも主人公の言葉なり視点なりが、作者のそれであるかのように受け取られていると感じます。ぼくの作品では主人公が作者と一体化することはありえません。さまざまな人物にさまざまに行動させ、さまざまにしゃべらせる、その全体で何かを受け取ってほしいというのがぼくの作法です。でもこれもたぶん読者を責めるべきではなく、ぼくの書くものがその域に遠く及ばないことが原因ですので、これも反省材料です。

 詳しく論じていただいてありがとうございました。いままでこれだけ詳しく論じてくださった方はおられませんでした。心より感謝申し上げます。
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