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エジプト、シリア、イラン

 リビアとチュニジアの情報が入らないが、エジプトの革命はあっけなく敗北してしまった。
(以下生半可な知識で書くが、間違いは指摘してほしい。軽はずみで書くとえらい目にあうのを経験したが、対象が具体的な個人ではないのでよいだろう)。
 エジプトである。世俗派とイスラム派とが結束してムバラクを追い詰めたとき中立を守った軍は、両者の結束が破れるや否や牙をむきだした。軍の側に立てば、実に巧妙な作戦だったといえる。その裏にCIAの影を感じるのは考え過ぎだろうか。しかし結果はアメリカの思惑通りだ。アメリカからの膨大な軍事援助の利権に群がって特権を維持してきた軍が、はたしてアメリカの意志を無視して動けるだろうか。
 アメリカにとっても軍にとっても、ムバラク個人などどうでもよいのだ。ムバラクが力を失えばすげ替えるのに何の躊躇もしない。アメリカと軍とがドルの力でつながり続けることが、両者にとって何より大事なのである。
 リーダーも組織もないとはいえ、世俗派はナイーブすぎた。
 一方、イスラム派は組織もリーダーも経験も持っていたのに、あまりにも稚拙だった。
 と、我々の側から批判するのは容易だが、現実とはこういうものなのだろう。この敗北の教訓をかみしめて次に備えるしかない。
 アルジェリアでは、(ずいぶん前の話になるが)フランスから独立を勝ち取った民族解放戦線が国民の支持を失い、総選挙でイスラム派が多数をとるや、解放戦線の後裔が武力で蹴散らしてしまった。
 トルコでも、イスラム派は多数をとるたびに共和国軍によって非合法化され、そのつど名前を変えて再組織し、政策を穏健化して、ようやく政権にたどりついた。先般オリンピックのために公園をつぶそうとして激しいデモに見舞われ、また次第にイスラムを強制しようとする傾向に警戒感が出ているが、なんとか生きながらえている。
 民衆をひきつける政党がイスラム派しかなく、軍がその利権の維持のために混乱を利用しようとする状況のなかでは、世俗派はイスラム派との間に妥協を見出すしかない。イスラム派にとってもそうである。トルコもまたクルドの独立を認めようとしないなどの問題を抱えているが、いまのところイスラム政党の唯一の成功例と言えるだろう。
 革命は意外に簡単に起きる。情勢が成熟していれば、ちょっとしたきっかけで起きる。だが、難しいのはそのあとである。政権を倒すのは簡単だ。だが政権を維持するのは容易ではない。
 革命後の政権が、しばしば独裁的な恐怖政治へと走ってしまうのは、そのせいだろう。それは後進国で歴史を前へ進めるためには時としてやむを得ないかもしれない。だが、民主主義がある程度成熟した社会では、もっと複雑に物事を考えていく必要がある。変革とは何をどのように変えるのか、いかにしてそれを担保するのか、社会と人々の準備はできているのか、こうした複雑な問題を考えていくとき、マルクス主義はもはや無力であるようにぼくには思える。
 というのは、その主義に多様性への理解が欠如しているように感じるからだ。社会が成熟するほど、人々の意識は多様になる。この多様な意識を吸い上げる、吸い上げて常に自己変革していく政党でなければ、成熟社会を統治する資格はないだろう。

 話が変わる。シリアである。とりあえず空爆は回避された。イギリス議会が政権の要求を否決したのが大きかった。これがアメリカ議会に影響を与え、オバマは窮地に立たされた。オバマを救ったのはロシアである。科学兵器の国際管理という提案がなされ、オバマは一応面目を保った。
 この間非常に面白かったのは、アメリカ議会の動きである。共和党は二つに割れた。積極干渉派と、いわばモンロー派だ。このモンロー派にも二通りあって、アメリカの利害に関係ないことにかかわるなという従来のリバタリアンと、結果的には同じ主張なのだが、少し支持層を異にするティパーティ派だ。
 一方民主党も二つに割れた。平和主義者と、「人権」派だ。
 そして圧倒的世論が干渉に反対した。イギリス議会の動きも含めて背景にあるのは、イラク・アフガンの失敗と、この不景気、国民の生活苦だろう。外国で戦争している場合じゃないという率直な感情だ。
 もちろん、シリア問題は何ひとつ解決していない。だが少なくとも空爆が解決策ではなかっただろう。
 安倍は危機一髪で空爆支持を言いださなくてよかったね。

 もうひとつ話題を取り上げる。イランである。
 ロハニが大統領選を制して風向きが変わった。もともとハメネイとアフマディネジャドとは肌が合わないと言われていた。この国で面白いと思うのは、改革派と呼ばれるのが、ラフサンジャニをはじめみなイスラム法学者で、強硬派のアフマディネジャドが世俗人だったことだ。
 イスラムには、仏教やキリスト教のような坊さんはいない。イスラムは宗教というよりも法であり、坊さんではなく、法学者がいるのである。アフマディネジャドは、革命防衛隊から出て、世俗人でありながら、イスラムにおいても外交においても強硬路線をとった。イスラム保守派の支持と、もうひとつ、革命防衛隊の存在意義を高めることが彼の存在基盤であったのかもしれない。ハメネイは革命防衛隊が存在感を強めることに警戒的だったらしい。
 支配層というのは決していつも一枚岩ではない。その矛盾を利用して民主主義の方向へと一歩進む手段が時としてありうる。
 ロハニが欧米との和解の方へ踏み出したのは、正しい選択である。日本のようにアメリカ一辺倒になれと言うつもりはないが、現在の力関係のもとで欧米といたずらに反目するのは賢明とは言えない。世界の金融と情報とは依然として欧米が握っている。これはいずれ是正されねばならないが、力関係は正しく読まねばならない。
 案の定イスラエルがあわてている。サウジアラビアも面白くないはずだ。
 サウジとイランの間には二つの問題がある。ひとつは石油だ。石油の高値を維持するためには、競争相手が少ないほうがよい。イランが永久に封鎖され続けることがサウジの利益なのだ。
 もうひとつはイスラムの盟主争いだ。シーアとスンニの歴史的対立がある。アラブとペルシャという民族の違いもある。その上イランは王政を打倒した国だ。サウジにとって許すことのできない国なのだ。

 前進、後退を繰返しながらも、歴史は少しずつ動いている、というべきではなかろうか。
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