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シリア

 シリアについては知識不足なので何も言う気はないが、あまりの皮肉さに苦い笑いが出ざるを得ないとは言える。
 というのは79年、自国民を大量虐殺したポルポトがベトナム軍の侵攻によって追い払われた時の人々の反応が忘れられないからだ。
 いまでこそ、ポルポトの虐殺は常識である。そして当時本屋で眼につく限りの関連本を買ってきて、ポルポト擁護の本、シアヌーク派の本を含め10数冊を読み漁ったぼくにとってもすでに常識であった。
 ところが世間は違ったのだ。ポルポトの虐殺などということを言うおまえは共産党と本多勝一に騙されているのだ、と言われた。たとい何があったにせよ、内政干渉するのは間違っていると言われた。人権は国内問題であって外部から関与すべきではないと言われた。
 ところがいま、その同じ世論が、人権のためなら外国を一方的に爆撃してもよいのだという。馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうしかないではないか。
 世論は実に簡単にどちらへでも操作される。世論には信念というものはないのだ。
 外国の内政に干渉すべきか否かというのは、ケースバイケースであって簡単に言えない。
 79年の場合には、カンボジアから先に攻め込んできたから防衛的反撃であって内政干渉ではないと、ベトナムは説明し、共産党もその立場をとった。しかしそれは本当はどっちでもよいのである。またベトナムの真の動機が何であったかということ自体問題ではない。どのみち国を動かすのは常に政権の背後にいる階層の利権だ。
 そんなことはどうでもよい。ぼくにとって大事なのはその結果ポルポトによる虐殺が阻止され、カンボジア人の命が救われたということだ。
 だが、世論がそれを認めようとしなかったので、国際社会の後ろ盾と、中国の援助と、タイ難民キャンプに集中した国際援助とによってポルポトはなお息を吹き返し、その後10年、戦争は続いた。それでもポルポトによる虐殺を放置するよりも犠牲はずっと少なくて済んだ。
 これは虐殺を食い止める力が国内に存在せず、しかもこれがジェノサイドであって、戦後の体制うんぬん以前にすぐ行動すべき場合であったのだ。実際、事実上世界中がポルポトを支援したにもかかわらず、彼は敗北した。そののちのフンセン政権に多々問題はあるとしても、それは歴史の過程としての範囲内だ。
 ひるがえってシリアはどうか。
 いまシリアはにっちもさっちもいかなくなってしまった。完全な内戦状態である。これを演出したのはサウジアラビアその他の親米的専制王国だ。彼らが微弱だった反体制派に武器を与えて内乱を引き起こした。ここでも戦争は利権の問題にすぎない。人権を持出して粉飾しているだけである。
 アサド政権がシリア国民にとって決して好ましくない政権であるのは事実である。だが、それは程度の差で、親米アラブ諸国はどこも似た状態である。ただイスラエルに対する態度に違いがあるだけだ。そしてイスラエルはアメリカの利権そのものなのだ。
 しかし、ここでも、実は利権問題はどうでもよい。アメリカ、フランスによる空爆が、はたしてシリア国民を救うことになるのか、その逆なのか。
 外国の援助だけに頼っている反体制派、しかもその実態はばらばらの勢力である。都市部にはアサド政権に恩恵を受けている階層、またイスラムによる迫害を恐れるキリスト教徒がいる。
 これはすでに内政干渉によってこじれてしまったケースであって、この方程式を解くことは困難である。
 いまの時点でのぼくの結論としては、シリアへの軍事的干渉はやめるべきだ。平和的働きかけを尽さねばならない。
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