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映画「少年H」

 笹本氏に影響されたせいもあるが、見はじめると癖になって、「少年H」を見てきた。
 これは配役の成功による勝利だ。俳優の名前を全く知らないので名は上げないが、父親役は完全に役にハマっていた。なりきっていた。少年ももちろんよかった。しかし何と言ってもアカデミー賞ものは妹役だ。こんな女の子をいったいどこから探し出してきたのか。素質も、演技もすばらしい。
 神戸の街並みの再現もよかった。洋風の建物が並ぶ狭い通りに市街電車まで走ってくる。凝ったセットである。セットと感じさせない。
 空襲の場面もよい。せっかくのバケツリレー訓練が、いざとなると役に立つどころじゃないという皮肉も利いていた。
 天皇制国家が、いかに国民の自由を奪い取り、害悪をまき散らしたかということも描けている。
 多少でも知識あるものなら勝てるはずがないと分かっていた戦争を始めた国家の無能力も描けている。
 しかしそこでふと疑問が生じる。
 じゃあ、勝てる戦争ならしてもよかったのか。いま自民党が軍備増強に走るのは、あの敗北に学んだからなのか。
 つまりここには、15年間にわたった日中戦争が抜け落ちているのである。日米戦争とはその最後の一幕に過ぎない。東アジア、東南アジアへの無法な侵略と殺戮の結果だったのだ。
 戦争を被害とだけとらえて加害ととらえてこなかった従来の戦争観はそのままである。
 もちろん当時の日本人にそんなことは分かるはずもなかった。だから登場人物にそんなことを語らせれば無理を生じる。しかし現在の我々がそれを知っている以上、それを映像でほのめかすくらいはできたのではないか。これは「風立ちぬ」にも言えることだろう。
 ナチのユダヤ人虐殺に少しでも触れるなら、日本の中国人その他への虐殺を何らかの形で入れる必要があるだろう。我々の国家はナチよりももっと大勢を殺してきたのだ。
 作品全体としては高く評価するが、その点だけは検討課題だと思う。
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