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野川 環「マイホーム」(「民主文学」20年3月号)

 まずは、傑作と言ってよいのではなかろうか。日本語の使い方にかなり難点があるのだが、構成はうまい。人物もよく書けている。ストーリーを急ぎすぎずに、ひとつひとつ丹念に描写している。読者を飽きさせない。現代社会の闇の部分をうまくつかみだした。
 欲を言えば、これだけではまだありきたりなので、もうひとつ突き抜けてほしかった。でも、ひとまず成功だ。
 問題は日本語力である。言葉による表現なのだから、言葉を磨くことが第一歩だろう。
 <室内の暖気がどっと廊下に流れた。冬の匂いと家の匂い>
 感覚の問題だ。冬の匂いを強調するのなら、<廊下の寒気が一気に入り込んできた>でなければ、読者はついていけない。そのあと、<もう霧散していた> ここでのこの漢語の使用は前後の文章になじまない。<すぐに消えた>でよい。
 <季節は春に向かって進んでいた。現実は、日々寒くなるばかりだった>
<暦の上の季節>ならわかる。だが、<季節>はいつも暦の上だけなのではない。<現実の季節>は(日々寒くなるばかりなのだから)少しも春に向かっていないのだ。<季節は足踏みしていた>というべきところだろう。
 <よく買い物をした八百屋は若い店主が威勢の良い声をあげていた>ここは確かに段落替えはしているが、前段に続いて過去の話だと思って読んでしまう(どちらも過去形だから)。しかし実際には現在の話だ。<あの頃、よく買い物をした八百屋の若い店主が、いまも威勢の良い声をあげている>
 こういう部分が目に付く。でも、以前の作品よりはずっと良くなっている。
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