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「民主文学」19年8月号

石井 斉「白いスニーカー」
 この人の書くものはわりと好きなのに、今回はじめのうち「てにおは」に違和感があって、あれどうしたんだろうと心配した。ところが、じきに引き込まれて、そういうことはどうでもよくなった。
 無造作に単語を並べただけに見える簡潔すぎるほどの文体。その文体から醸し出されるなんとも言えない静謐さ。息が止まるような感じだ。
 ジッドの小説を読んでいるみたいな気がした。
 ぼくはいま恋愛ものの戯曲にかかっているが、この作品にはとうてい勝てない。上質の恋愛小説。
 こういう作品についてはあれこれと分析的なことは言いたくない。ただ読んで感じるだけで十分だ。

須藤みゆき「三つ編みの記憶」 
 これはまったく対照的に、濃密な文体。センテンスが長い。長くて、複合的で、ひねくりまわしている。でありながら読ませるところがこの人の才能だ。
 悲劇的な調子で始まるが、途中はかなりユーモラスである。そして結末は悲劇が最高潮になって終わる。
 最後の畳みかけていく描写は、この人の得意とする手法だ。だがユーモアも書ける人である。この作品の場合、彼女の二つの才能がせめぎあってうまく調和していないような印象もある。

原 信雄「巴波川」
 いろいろな経験をして成長していく少年の物語。父親の波乱万乗の生き方も面白い。左翼がまだ影響力を持っていた時代の話。ただこの父親が75歳のころというのはいつ頃のことになるのだろう。そのころ政党助成金てあったかな。あれはいつ始まったっけ。(いま計算してみると、ほぼ適合するようだ)
 ぼくの少年時代より数年遅れて展開するのだが、地域による世相の違いも感じる。栃木に較べて、福山というのはやはり豊かな土地だったのかもしれない。
 それにしても、ぼくの人生に欠けていたのは、こういう少年時代だったのだろうと考えさせられた。

篠田佳希「彩子の朝」
 40代前半で離婚し、これといった資格もなく女性が一人生きていくことの大変さ。介護労働者の賃金の安さ。それでも、そこそこの賃金をめざして、努力して資格を取る。そういう実体はよくわかる。わからないのは、最後にフミさんに会いに行く場面で、「私、ずっと傍にいさせてもらっていいの」と問いかけねばならないような関係がフミさんとの間にあったように思えない。この相手がスズさんならわかるのだが。

塚原理恵「こころの熾火」
 シベリアに抑留された従軍看護婦の話。連載小説の第1回。これから本題に入っていくところである。

 あとの作品はまだ読めていない。
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