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山本 洋「連絡B」(19年度新人賞佳作)

 こういう作品に出合うと、小説というのはほんとうに自由なんだなとつくづく思う。
 昨日も書いたが、独りよがりの批評をあいかわらず書いて来て、ぼくもときたま反省する。
 作者もさまざま、読者もさまざま、小説もさまざま、いたずらにケチをつけることもあるまいと思う。

 思うのだが、一応気になったところには触れておく。
 時の流れがわかりにくい。ベテランの高校国語教師が、校種間交流という制度に興味を持って重度の子の多い養護学校(高校生相当)に転勤してくる。三年間の期限付きで、その三年目である。三年目の春から書き始めて卒業で終わるのだが、随所に二年前の転勤当時のことが挟まる。行ったり来たりするので、ときどき今いつの話をしているんだろうとわからなくなる。
 もうひとつは、全体のことが書けていない。自宅から来る子もいれば、施設から来る子もいるらしいのだが、そうと書いてないので推測するだけである。どのくらいの人数がいるのかもわからない。主人公を含めた三人の教師で同じ子たちを三年間見るようなのだが、これも推測である。担当の子供は数人しかいないようだ、とこれも推測。そのほかに何クラスあるのかもわからない。
 要するに学校のイメージを描きにくい。

 という欠点はあるのだが、にもかかわらず読ませる小説なのだ。ごちゃごちゃと説明しない、言ってみればちょっと乱暴な書きかたがかえっていいのかもしれない。エネルギーがある。たしかに、読者を学校現場に連れて行ってくれる。文学的かと問われると頭をひねるが、これは内容で読者をつかむ小説であり、そしてそれに似合った文体であると言えないこともない。
 ノンフィクション的な要素が強く、こういうものの前では純然たるフィクションが薄っぺらく思えてきたりもする。
 結末近く、主人公の努力でやっと将来の見えてきた子を道連れに母親が心中してしまい、経験の長い校長が、こういう例は珍しくないのだというところ、訴えかけてくるものがある。
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