FC2ブログ

プロフィール

まがねとおる

Author:まがねとおる
無名人
新潟の同姓同名はまったくの他人
以上

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

FC2カウンター

カテゴリ

リンク

RSS

50億年後の太陽消滅について

 古本屋通信が高原利生なる人物の文章を紹介している。ある本の書評として書かれたものらしいがかなりの長さで、後半に原発に関する見解が述べられている。
 内容は、50億年後の太陽消滅ののちも人類が生き残っていくためには原子力が欠かせないので、いま脱原発を言うことは無責任な感情論である、というものである。
 かなり詳しく論じられているので、興味ある方はご覧ください。
 ぼくの感触としてはまともな論とも思えないのだが、大事な問題なのでちょっと取り上げてみたい。
 科学らしい科学が始まって数百年、キリスト生誕から二千年、初期文明の時代から数万年、そして人類の誕生から数百万年である。
 高原氏は失礼だが、数字の桁を間違えていないか。サルから人間になってまだやっと数百万年にすぎない。文明が始まったのはその終わりの方の数万年である。百万年を百度繰り返してやっと一億年にしかならない。50億年のためにはその全体を50度繰り返さねばならない。なのになぜ50億年後の心配をするのか。
 50億年に比べれば人類発生からの時間は瞬間のようなものである。とても比べられるような時間差ではないし、いまから50億年後までの気の遠くなるような時間のなかで何がどうなるかなんて誰にも予測のつかないことだ。
 そんな遠い話のためになぜいまを犠牲にせねばならないのか。早い話が放射能のせいで明日人類は消滅するかもしれないのである。こっちの方が話が先であろう。
 数字というものは掛け算するとあっという間に大きくなる。だが時間というものは掛け算ではなく足し算なのだ。数字のマジックで人を煙に巻いてはいけない。
 気宇壮大な話でSFとしてなら面白いが、それで今日の原発を肯定するわけにはいかない。
 なお氏は小惑星の衝突の可能性にも触れ、それは明日のことかもしれないと述べている。それを回避するためには核兵器が必要なのだと。
 ことは確率の問題なのである。小惑星の衝突で滅亡する可能性と、放射能で滅亡する可能性とどちらが確率が高いのか。圧倒的に後者であろう。
 氏は放射能での死者は少ないとも述べている。だが、原発労働者の一時大量被曝による死者数は分かっていても、長時間少量被曝の死者数は統計さえないのが実情ではないか。それは貧困層の存在を前提としたあまりにも非人間的労働なのである。
 さらに原発立地近接地における放射能被害の実情も、これも調査さえされていないというではないか。海と空と大地を汚染し続けている放射能が、いま人類にどれだけの被害をもたらしているか、これも全く不明である。
 正常運転時においてさえこうなのだ。事故は必ず起こる。現に三度起こった。また起こるであろう。この復旧作業への従事は死ねというに等しい労働である。その被害は膨大であり、しかも復旧の可能性はいつまでも見えない。お手上げ状態になりつつある。
 さらに積もりゆく核廃棄物をどうするつもりなのか。これこそすでに何万年先の人類までも悩まし続ける物質になってしまっている。
 氏は交通事故死者との比較を持出す。原発推進派が常に持ち出す論拠である。交通事故死者数は膨大なのに誰も車を廃棄せよと言わないというのである。
 誰も言わないわけではない。共産党がすでに半世紀前に車社会を批判していたのをぼくは知っている。車のいらない都市計画、公共交通網、生活パターン、車優先から歩行者優先の道路行政、こういった提言を当時すでに共産党はしていた。
 この点では共産党に先見の明があった。  
 だがここまで来てしまった車社会をすぐには転換できない。けれども、原発はすぐに廃棄できる。そこが決定的に違うのだ。
 炭酸ガスによる地球温暖化をすぐに持ち出す。スリーマイルとチェルノブイリののち原発派が仕掛けた罠だ。だがそれはまだ証明されていないただの推論だし、もし当たっているとしても炭酸ガスと放射能のどちらがより怖いのか。
 化石燃料の枯渇という。だが次々と開発されている。自然エネルギーでは賄えないという。その努力をしていないだけだ。
 エネルギーが足りないという。だがエネルギーの大部分が無駄に浪費されているのが資本主義社会ではないか。
 感情論と一概に言ってはいけない。確かに感情は軽はずみだが、だが大事なものである。
 こういう著者には、ネビル・シュートの「渚にて」をぜひ読ませたい。これを読んでもなお原発が必要だという人は感情を持たない人だ。
関連記事
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す