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浅尾大輔「中本たか子の心の傷」(「民主文学」17年10月11月)

 そもそも中本たか子を知らず、プロレタリア文学を知らず、日本文学も知らず、日本現代史も知らないので、読めるかなと思いながら読んだ。読めた。読ませる評論である。何も知らない人をも引き込ませる力を持っている。
 一次資料を丹念に発掘しながらの論述であるから、普通に書くと平板になってしまうところを、いかにも作家の書いた評論だ。構成がうまい。厚みのある文体。ときに脱線して下関界隈の小島に妻と夕日を見に車を走らせたり、そうやって気分転換させながら読ませてくれる。
 拘禁性精神病の話から始まる。天皇制政府の犯した非人間的な行為。それによって傷つけられた人々。
 やがて話は菊池寛の果たした役割、彼の作品批判に及ぶ。
 そういうなかで中本たか子の人と作品が小林多喜二の作品に影響を与えているのではないかという推論もなされ、「工場細胞」が引用される。
 多喜二はぼくが読んだほとんど唯一のプロレタリア作家だが、この作品は読んでいない。だから論考の当否はわからないのだが、その部分で浅尾大輔は宮本賢治の批評に部分的な疑問を提出する。この個所は中本論から少し離れているような印象を受けるが、でもそれもまた中本という人の姿を浮かびあがらせるためでもあったのだろう。
 時代と、時代に抗して生きた人々がいたこと、ぼくらは少しこういうものも読んでみる必要があるだろう。
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