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憲法9条(第4回) 北朝鮮

4、北朝鮮

 北朝鮮問題に移る。これはやっかいな問題である。どう言ってよいか困るような国だ。ある女性が、この国の話題が出たと同時に「あの髪型を何とかしてほしい」とにやにやしながら言ったが、そういう冗談ですましたいような国である。
 だがあの国には圧政のもとで困窮している人々がおり、そして何をしでかすか分からないという問題がある以上、冗談ではすまない。
 あの国がやっかいなのは、あの国の実像がつかめず、いかなる動機で行動するのかが分からないからだ。ふつう国家は、利益にもとづいて行動する。それが誰の利益であろうとともかく利益だ。そして誰のということもだいたい分かっている。だから何をやり、何はやらないかということも分かる。利益で動く対象はわかりやすい。だが、利益とは無関係に動くものを理解することは難しい。
 そこで我々は基本に立ち返って、あの国が何故ああなってしまったのか、から考えていこう。
 その場合、1910年から(実際はそれ以前から)数十年にわたって日本がこの半島を蹂躙してきた歴史をやはり欠くことは出来ない。それが南北分断の根本的原因だからだ。戦争に負けた日本はこの半島を無責任に放り出した。それは負けた以上やむを得なかった。だがその結果、半島は東西冷戦の前線基地として分断されることになった。
 米ソの分断軍政下で、米ソが勝手にそれぞれの統治者を決めてしまう。李承晩と金日成である。二人とも朝鮮半島に基盤を持たない人物だ。そのためその不安定さを独裁によって補うしかなかった。両者ともに、それぞれの統治下で反対者を激しく弾圧し、粛清した。
 経済的にははじめ北の方が優位であった。もともと北には鉱業資源が多く、日本統治時代から工業が集中していた。南は農業地域であった。しかも李承晩が自己の権力維持に熱中して経済を顧みなかった。
 しかし米軍駐留下で、結局は南の独裁のほうがより開放的な独裁だったとも言えるのではないか。李承晩の無能と悪行とは世界に知れ渡り、アメリカもこれを非難する。弾圧下でも抗議は活発化し、最終的には逃げ出すしかなくなる。その後朴正煕も独裁を維持したが、経済には力を入れた。アメリカの援助、日韓条約後の日本の援助(戦時賠償の代わりとしての)、日韓間の貿易、投資の活発化、要は資本主義経済の優位性によって、市民の生活が改善され、中間階層が育ってくるにつれて、独裁自体が不可能になり、全斗煥、盧泰愚ののち、民主化に成功する。
 これに対して北の独裁は、ソ連邦公認の独裁である。朝鮮戦争時は、李承晩も市民をほったらかし橋を爆破して釜山まで逃げ出し、戦争を指揮したのは米軍であったが、金日成もまた米軍の反攻が始まると中国に逃げ、ソ連に代わって朝鮮の援助者となった中国軍が指揮をとっていた。どちらも頼りない独裁者である。
 北の経済はソ連と中国が援助したが、この中ソ公認の独裁は閉じられた独裁で、改革の土壌がない。中ソ対立の時代、それを利用して両国から援助を引き出し、援助に頼った経済で、自立した経済が育たない。こうしてはじめ南より優位にあった経済は、逆転し、あっという間に引き離されてしまう。ソ連邦解体で援助が止まってしまうと一巻の終わりである。
 経済的にこれだけ追いつめられながら、何故革命が起きないのか。そこにはやはり利害関係があるのだ。
 この国は全体として貧しいなかに際立った格差がある。まず首都平壌市民と地方住民間、労働党員と非党員間、その中でも中央委員会への距離の差、党内部のヒエラルキー、そして軍人と非軍人。支配の鉄則、被支配者を分裂させることで支配する、この体制によって恩恵を受けていると各層にそれぞれの水準で思わせる。そして国民への情報を遮断し、逆に労働党の網の目の組織によって国民への監視を強固にする。
 こうして国民をばらばらにし、疑心暗鬼にさせることによって、不満の噴出を防いでいる。
 その国を経済的に援助してきたソ連と中国が、その体制を公認してきたことは大きな要素だ。それはもともとソ連中国の体制と基本的に同じシステムであるうえに、中ソ対立が双方からこの国を甘やかす方向へと働いたことが一層この国の傾向を助長したとみるべきだろう。
 南では多くの活動家が投獄され殺されながらも粘り強く活動して民主化を勝ち取った。北では人々はただ国境の外へと逃げ出すことしかできない。もちろん報道されないだけかもしれない。反抗者たちは牢獄へ押し込められ、あるいは殺されているのだろう。
 この国の支配層にとってはこの体制の維持こそが優先課題である。そこに彼らの利害がある。
 だが彼らも危機感は持っている。経済の疲弊は明らかであり、いずれ破局が来るのは目に見えている。そこで何とかしたいが、体制維持との矛盾にぶつかって前に進めない。
 政策には何ひとつ整合性がない。めちゃくちゃである。きちんとした政策決定機構があるとは思えない。
 それゆえ周辺に暮らす我々から見ると、いつなんどき何をやるか分からないという不安が付きまとう。
 どうすればよいのか。ハリネズミのような防御態勢を作り上げるのか。手を出したら報復するぞという攻撃態勢を作るのか。
 だがそれは不毛な努力であろう。
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