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2017年02月のエントリー一覧

  • サクラ・ヒロ「星と飴玉」(310枚 2016年太宰治賞候補作)37歳

     300枚の小説に第一部と第二部とがある。少し大げさな感じだ。一章、二章でいいだろう。ただ読んでみると、一部と二部とで内容が大きく変わっているので、納得できないでもない。 一部を読んでいるあいだじゅう、かなり苦痛だった。面白くないのだ。登場人物がいずれもありきたりでオリジナリティに欠ける。行動もセリフも陳腐で凡庸だ。どこが良くて最終候補まで残ったのか。こんなものを読まされるのはかなわない。と思っても...

  • 「楽園」追加

     小説は嘘である。小説とは嘘を書くものだ。だが、嘘を書いてはならないものもあるだろう。嘘を書くことになじまないもの、事実が重すぎるもののことだ。 第二次大戦の敗戦以前の日本帝国主義の諸外国でのふるまいもそういうことのひとつだろう。そういう重すぎる事実について嘘を書くことはできない。だが事実を書くとしたら、それは小説ではない、ドキュメントである。もちろんドキュメントの文学的価値も大きい。 だが、それ...

  • 夜釣十六「楽園」137枚(「太宰治賞2016」筑摩書房)

     一気に読んだ。読ませる作品である。適度の軽さと適度の濃さが混ざり合った文体。適度の通俗性と適度の文学性を兼ね備えた語り。そして現代と過去とが響き合った物語。 主人公、橘圭太、30歳。身長180センチのラグビー少年だったが、監督の指導方法についていけずに退部。女子率7割の福祉系大学で大いに楽しんだが、老人ホームでの実習が始まるや脱落、卒業だけはしたが、資格は取れなかった。警備員として働きつつ、その稼ぎ...

  • 「民主文学」17年3月号

     青木陽子「北横岳にて」 せつない作品である。癌を切除して、抗がん剤と放射線治療を一年続け、一段落したと思ったら転移が見つかった。あと何年生きられるのだろうか。誰しもそこでいったん立ちどまる。しかしそこで終わってしまわないのが、青木陽子である。 <自分の命が後いくらも残されていないのかもしれないと、そう思う瞬間が来れば、誰だって、どうしたって、そのことを見つめてしまう> <私はどうする、と思った時...

  • 美について

     ぼくは哲学をほとんど読んでなくて、プラトンは岩波文庫で「ソクラテスの弁明」と「国家」上下を読んだだけである。「ソクラテスの弁明」を読んだのは比較的若いころだったので、その印象は強烈に残っている。ところが「国家」の方は、長いものを苦労して読んだのに、少し齢とってから読んだせいもあるのか、内容をまるで思い出せないのだ。「国家」というタイトルなのに、はたして国家について何か書いてあっただろうかと首をひ...

  • 文法について

     一年が一日のように過ぎ去ってしまう日々で、去年は何をやったのだろうといぶかるようなありさまなのだが、パソコン碁を少しやりすぎている。これは時間の無駄だが、いつか人間相手にやりたいと思って、ひそかに特訓しているのだ。先日町内の名人に4目置かせてもらって、時間がなかったので早碁で合計10分ほどでけりをつけて計算する時間もなかったが、少し負けかなという感じだった。 で、そのほかに何をやったのだろう。 庭...

  • 夜釣十六

     去年の「民主文学」5月号で「社会主義リアリズム」に引導を渡した谷本論が、1月号で去年の各新人賞受賞作を論じている。(引導を渡したは言いすぎか。ソ連のそれは批判したが、日本のそれは別物だったと言っているのだから――興味のある方は「谷本論」でこのブログの検索にかけてください。関係記事が3つ出てきます)。 岩崎明日香作品も含めてかなり好意的な扱いである。(ぼくは「群像」も「文学界」も「新潮」も「すばる」も...

  • 「民主文学」の選評

     感想を書くつもりの小説は、書き終わるまでその作品への人の評は読まない。自分の素直な感想を書きたいからだ。で、12月号誌上の選評も感想を書き終わってから読んだ。読んでちょっとがっかりした。もちろんごく限られた字数でいくつもの作品について書かねばならないのだからご苦労なことなのだが、ほとんどストーリー紹介という感じで評らしい部分が少ない。選評というのは文芸時評とは性質が違うのではなかろうか。文芸時評は...

  • 野川 環「サクラサクサク」(「民主文学」16年12月号)

     これは新しい才能の誕生である。読んでない人はぜひ読んでほしい。 ただし、書き出しはちょっと引っかかる。それで損をしている。ところが読んでいくと引き込まれる。書き出しの軽い文体は最後まで貫かれているが、書かれている内容がだんだん真に迫ってくる。 出会い系サイトなのだが、ペテンサイトだ。ビルの一室にずらりとパソコンを並べて、バイトたちがずっとメールを打っている。妙齢の独身女性を装って、引っかかってき...

  • 菊池明「初冬の風に」 紀田祥「郷に入りても…」(「民主文学」16年12月号)

    「民主文学」の12月号を「ネギ」だけしか読んでなかったなと思って開いたら、そうではなかった。感想を書いたのは「ネギ」だけだが、菊池明と紀田祥は読んでいた。 菊池明はまがね例会で取り上げたのだ。その感想はまがねブログに短くまとめてある。ぼくの感想もあまり変わらない。ただ戦後生まれの作者が、戦争加害の問題を迫真の文章で綴っている最後の部分は迫力があった。 紀田祥は難民受け入れ問題。まさにタイムリーなテー...

  • 肯定の肯定 続き 高原さんへ

    「肯定の肯定」がジョークであることはもちろんお分かりいただいていると思いますが。「肯定」というだけの意味なのですが、冒頭にジョークを入れて強調したのです。 質問です。 <しかし、議論や民主主義には欠くべからざることであるので、とりあえず、今、自分が語ることの粒度(扱う話題の空間時間範囲、扱う属性。これを言うだけで意識していないことが分かるだろう)を意識し明確にしようと言っている> この文章の次の部...

  • 植田さんのコメントに 交換価値

     使用価値のところで言おうとされていることはよくわかります(それを肯定するかどうかは未定ですが)。 交換価値についてもう少し。 労働時間は確かに実体です。だから交換価値が単に労働時間のことを言ったのだとしたら、名前の適不適はともかくとして、やはり実体なのだと言ってもよいでしょう。 しかし、労働時間そのものは交換価値ではありません。たとえ何時間労働しようとも、それが交換されなかったら、それは交換価値...

  • 肯定の肯定

     ヘーゲルの弁証法は「否定の否定」だが、いまわれわれに必要なのは「肯定の肯定」ではないだろうか。 とりわけ左翼はお互いの違いを見つけることに熱心で、常に四分五裂し、ために団結力のある右翼に太刀打ちできずに来た。 いまは相違点ではなく一致点を探すべきときなのだ。 とは言いながら、ぼくもやはり違いばかりを気にしている。これはどうしたことだろうと考えてしまう。でもたぶん、こういうことなのだ。 とりあえず...

  • 竹内七奈の意見

    「民主文学」3月号が来た。 竹内七奈がなぜ民主文学が売れないのか、どうすればよいのかについて率直な意見を書いている。必ずしも納得できるわけではないが、率直な意見が誌上に載るということはたいへん喜ばしい。 次のページに乙部宗徳が「竹内七奈さんへ」と題して書いていて、反論を同じ号に書くのはどうかな、次の号に書くべきではないかな、と思ったら、反論というのではなくて、雑誌経営上の実情について参考として書い...

  • 637→633

     間違えました。637は短くて、そのあとの633が長いのです。...

  • 高原さんへの暫定的な回答

     今回、植田さんと高原さんとの間で交わされた言葉、それから去年10月頃にご両人の間で交わされた言葉(もちろんその中には高原さんからぼくへの批判も入っているのですが)を読んでの感想を少し書きます。(10月の文章もじつは今回初めて読んだのです。去年は他のことにかかりきりで、この問題をあつかう余裕がありませんでした)。 最初にお断りしておきますが、ぼくは高原さんの主張の全体像をほとんど理解できておりません。...

  • ロカンタン 鴨長明 使用価値

     また新たなコメントが来ているようですが、昨日の文章への追加をいま書いたので、新しいコメントを読む前ですが、とりあえずアップします。 恩田陸からぼくが引用した言葉を読み直してみると、なるほど「一瞬」について語っている。もちろん、そこで恩田が言いたかったことを否定するわけじゃありませんが、ぼくがその言葉から思わず連想してしまったのは、もう少し違うことだったのです。 つまり「一瞬」のことではなく「瞬間...

  • 恩田陸 ロカンタン――植田さんのコメントに

     恩田陸からロカンタンを連想したのは、音楽によって存在を意識させられたところが似ていたからで、彼女の小説を読んだわけでもなく、新聞紙上のごく短い発言だけだから、それ以上ではないことを最初にお断りしておきます。 以下はぼくなりのマルクス理解ですが。 労働時間はただそれだけでは交換価値ではない。その労働時間による生産物ないしサービスが、市場に持ち出されて交換されて初めて交換価値となる。しかもそれは交換...

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