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2016年12月のエントリー一覧

  • 「夜」の「序」について

    「失われた夜のために」の改稿した「序」が気にいらないので、旧稿に戻した。それでよいというわけではないが、とりあえずの措置である。なお旧稿の「序」はかなり長いので、(その1)から切り離した。 中編小説のカテゴリにマウスポイントを置くか、クリックするかすれば、どちらでも出てくる。 ちなみに手記の筆者の名前がサイト―から橋本に戻った。旧稿に手を入れてないからだが、そのほうが合っていたような気もした。...

  • 「コンビニ人間」追加

     ひとつだけ追加する。この小説の地の文、即ち古倉恵子の語りには高ぶったところが一箇所もない。常に冷静に淡々と書く。どんな異常な出来事も価値基準を持たない古倉にとっては、すべて等し並みなのだ。興奮するのは常に彼女の周囲の人々である。同僚であり、女友達とその夫であり、妹であり、白羽である。ここに白羽が入ることから見ても、結局白羽は彼らと同じ世界の住人なのだ。古倉が表現している問題は白羽のようなレベルの...

  • 「コンビニ人間」再読

     200枚の小説を、二度目に読んでも退屈しなかった。退屈させない仕掛けが随所にあるのに気づいて、さすがプロだと思った。 ごく普通の場面から始まる。古倉恵子はコンビニの有能なアルバイト店員である。てきぱきと進む描写は気持ちいい。だが読者を飽きさせるほどには引っ張らない。 場面転換すると、古倉の幼児体験である。それは一転しておぞましく異常な世界だ。ふつうに人が幼児から身に着けていく生活の場面々々での対処...

  • 村田沙耶香「コンビニ人間」16年7月度 芥川賞

     マニュアル人間の話である。主人公古倉恵子は日常生活の何気ないふるまいを人と同じようにこなすことができない。そこでは誰もマニュアルを教えてくれないからだ。生活のいちいちの場で彼女のふるまいは人とずれており、人は彼女を理解できない。彼女のほうでは自分はどこかおかしいのらしいと思いながらどこがどうおかしいのかわからない。なにかするといつも問題になるので、なるべくなにもしないようにして生きてきた。 大学...

  • 鶴岡征雄「雨蛙」(「民主文学」17年1月号)

     最後に問題だらけの文章にぶつかってしまった。最近あまり評価できない作品の批評は書かないことにしているが、5作の評を書いてしまってこれだけ残すというわけにもいくまい。文章の問題はどれも単純な問題である。でも書いている本人は意外と気づかない。身近な人がちょっと注意してやれば済むことだ。 どんなに内容が良くても、文章が悪いとやはり読んでもらえない。何ヶ所もで、ため息が出て投げ出そうとした。でも辛抱して...

  • 工藤勢津子「ロング・グッドバイ」(「民主文学」17年1月号)

     レイモンド・チャンドラーの名作を持ち出して何を語るのか、といぶかったが読み終えてみるとなるほどぴったりのタイトルだった。 母92歳。娘<私>72歳、独身。東京近郊に住み、弟は奈良で家庭を持っている。母娘の生活に弟一家が絡まって繰り広げられる悲喜劇だ。 最近多い話だが、それでも読ませるのは、この人の文章の、ときに人を切なくさせるような美しさと、切れ味のよさだろうか。 たぶん作者と等身大の<わたし>(こ...

  • 野里征彦「K捕虜収容所」(「民主文学」17年1月号)

     今月は新年号ということでベテランの作品を並べたので、さすがにいずれも読みごたえがある。「こつなぎ物語」の野里征彦である。いまネット検索して驚いた。まあ世間的に言えば高齢者ということになるのだろうが、ぼくとふたつしか違わない。それで明治の話を書き、今回は1945年の話、著者1歳の時のことである。すべてを取材で書いている。それでいて見てきたような臨場感だ。 もとはミステリー作家だというのも驚いた。ミステ...

  • 風見梢太郎「黒い凍土壁」(「民主文学」17年1月号)

     二つのことを書いている。ひとつはこの作家がずっと書き続けている原発問題。汚染水と凍土壁の問題である。いつもある程度の専門知識を持つ高年の主人公が登場するが、人物の設定はそのつど少し変えているような気がする。作者自身は畑違いの人間で、独学で原発を勉強して書いている。(たぶんそうだったと思う)。 かつてぼくのブログにコメントを寄せてくれる人が、科学的な問題を扱うのに、正誤を保証できないフィクションを...

  • 柴垣文子「滾々と泉は」(「民主文学」17年1月号)

     感動的である。この作家を見直した。というのは、ぼくが「民主文学」の購読を再開してはじめに読んだ連載小説がこの人の「星につなぐ道」で、まあタイトルもなんだが、内容も感心できなかった、以来ちょっと偏見を持っていたのだ。「星につなぐ道」はちょうどぼくらの時代の、学生運動から卒業して教師になるあたりを書いていて、ただ無反省に懐かしがっている感じがいただけなかった。 いま思うと、信じる道をまっすぐに歩いて...

  • コロボックル

     綿矢りさという若い作家の、「私をくいとめて」という小説を読んでいる。この小説は朝日新聞に日曜日だけ連載している。軽いがさわやかなので、わりと気に入っている。 たぶん30歳くらいの独身女性の主人公は、頭の中のもう一人の自分と会話する癖がある。それで思い出した。ぼくもごく幼いころ、そんな癖を持っていた。中学に入ったばかりの頃、「コタンの口笛」を読んだら、その主人公の少年がやはりそうだった。記憶違いかも...

  • 吉開那津子「ある作家の肖像」(「民主文学」17年1月号)

     40年前にさかのぼって一人の無名作家との出会いを書いている。出会いとはいっても、その本人と直接会うことを筆者は避け続けた。(例によって日本的私小説の約束事で、筆者の名前は吉開ではなく玉井だということになっているが、吉開その人と思って読んでかまわないだろう)。懸賞小説に入選して華々しくデビューした若い作家に、どうやら相手は会いたがっているようなのだが、内気な性格の筆者は避け続ける。彼女が多少付き合っ...

  • 小石雅夫「アヲイ ソラ」(「民主文学」17年1月号)

     短歌「アヲイ ソラ」10首 小石雅夫「アヲイ ソラ ヒロイ ウミ」ではじまる沖縄の戦後ガリ版刷りの小学教科書……第1首「アヲイ ソラ ヒロイ ウミ」に反する一切の憲法、法令及び無法を排除す ……第10首 短歌のことはほとんどわからないが、取って付けたように政治に触れる短歌には、どうもね、という感じを日ごろ抱いていた。しかし第1首で始まり第10首で終わるこの人の短歌、中間の8首は省略したが、すべてこの調子、...

  • 仙洞田一彦「忘れ火(連載第1回)」(「民主文学」17年1月号)

     この人の作品にも当たり外れがないわけではないが、読者を退屈させることは決してない。うまいのである。それでも今回、連載の第一回ということで少し硬くなったのか、何ヶ所か文章がおかしい。とりわけ冒頭が良くない。冒頭は一番硬くなりがちなところだ。 特によくないのは三つ目のセンテンス。 <正社員はもちろん、派遣社員の机の上に置いてあるパソコンもない> これは明らかに書き損じであろう。まったく意味不明である...

  • 記事の修正

     矢嶋直武氏の<「失われた夜のために」を読む(その2)>の内容を一部修正しました。六の章で主人公の下宿を訪ねてきたキリスト教の女との対話の部分です。この部分で矢嶋氏は本田哲郎という神父の聖句解釈を紹介していますが、わかりにくいという指摘があり、本人の提案で一部修正しました。太字にしている部分が修正箇所です。...

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