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2013年08月のエントリー一覧

  • 藤野可織「爪と目」

     二人称小説というのは、小説を書く者なら誰しも一度は挑戦し、そしてほとんど挫折しているのではなかろうか。 試してみたくなるスタイルなのだ。三人称があって、一人称があるのに、何故二人称ではならないかと誰しも考える。ぼくも過去に何度か試みたし、現に去年か一昨年にも一、二枚書きかけてそれきり忘れてしまっていた。 案外うまくいかないのだ。 それは二人称が原理上一人称を要求するからだ。二人称とは誰かにとって...

  • 批評の基準

     30年前、霜多正次の連載作品を津田孝が批判して、「批評の基準」論争というのがあった。つまらない論争だったが、一生懸命やりあっているので、ぼくも津田批判を書いた。書いたきり仕舞い込んでいたが、2、3年前書類の山の中から見つけた。ところが今回探したが、見つからない。何しろ20才でそれまで書いたものをすべて燃やした後の40数年の書類の山が未整理になっているので、手が付けられない。前回見つけた時に捨てたかもし...

  • 榑林定治「療友」(民主文学9月号)

     これは批評の対象とはしにくい。まさに「療友の思い出」そのものである。戦後間もなくの結核病棟での大勢の療友たちを思い出すままに綴っているので、一人一人の名前を区別することすら難しい。かなり読みにくい文章である。しかし、当時の結核病棟の貧しさ、にもかかわらず、明日死ぬかもしれぬ人たちが、待遇の改善や、あるいは文学雑誌を出したりという活動をやっている。あの時代の息吹を感じることができる。歴史的価値のある...

  • 民文同盟の分裂問題について

     民主文学同盟の80年代初めの分裂問題について、古本屋通信が、霜多正次の長文を転載している。会の一員として、また通信さんとの浅からぬ因縁からも、無視するわけにもいかないので、少し書く。 同時期にぼくは同盟を離れているが、分裂問題とは無関係だった。個人的問題、端的に言えば文学への関心を失ったためである。 霜多正次の連載は読むには読んだが、当時のぼくには大した作品とは思えなかった。だが、津田孝の批判は支...

  • 藤咲徳治「桜トンネルの春」(民主文学9月号)

     忍耐強く、じっくり読む小説である。文章には一分の隙もない。そのかわり華もないのだ。ストーリーもなく、これといって興味を引く小説的人物も出てこないので、何を期待して読んだらよいか分からず、途中で飽きてくる。自然主義の見本のような文体だ。 だがそこで投げ出してはいけない。これは外堀から埋めていく小説である。後半以後だんだん盛り上がってくる。最後の数ページ、美和の仮設を訪れるあたりから、ピッチが上がる...

  • 能村三千代「ヨシ乃さん」(民主文学9月号)

     今月号最初のヒット作(まだ二作残っているけど)。 ケチのつけようのない、良い作品である。良い作品には言うべきことが何もない。誰かがケチをつけてくれれば反論するけど。 嘘の連続で、そうだろうと思いながら読んだら、やっぱりそのとおりになって、それが読者をがっかりさせるのではなく、ほっと納得させる。 笑いながら読んで、読んだ後に何となくじわっと来る。最高です。まだ読んでいない人はぜひ読んでみてください...

  • 高橋篤子「二つの塑像」(民主文学9月号)

     北海道の話。短いがかなり入り組んだ設定である。 智子は46才、鉄の町M市(室蘭)で生まれ、高卒までそこで暮らした。いまは紙の町T市(苫小牧)にいる。その地のクレーン運転士だった夫は10年前に交通事故で死んだ。智子はいろんな仕事をして一人息子を育てたが、新聞の集金の仕事と図書館の掃除の仕事とはずっと続けている。時間の融通が利くからだ。 息子雄人は去年大学へ入って海を渡った。電子情報工学部でロボットの勉...

  • ふたたび吉良よし子

     古本屋通信さん、毎度転載ありがとうございます。ぼくは通信さんの記事には批判も持っていますが、それはいずれ書くとして、訪問者の非常に少ないぼくのブログを時々転載してくださっていることには深く感謝しております。「名アジテーターは昔はざらにいた。その後、理論家が主流となった」というのは確かにその通りですね。ぼくは徳球の時代はまるで知りませんが、昔どこかのおっさんが、徳球は素晴らしかったとつぶやいたのを...

  • 関 二郎「水切り」(民主文学9月号)

     おそらく少年時代の思い出をそのまま書いたのではないかと思われる。文章にはところどころ脈絡の通らないところもあるが、焦点を絞って要領よくまとめているので、結構読ませる。 下手に作るよりも素直に書いた方が小説らしくなるという好例だろう。 作文ではなく小説だとするのは、この作品の場合、主人公の少年を外から見る眼を感じるからだ。もちろん逆に主人公になりきって書く小説だってある。だが、その場合も作者と主人...

  • 有田 博「救急入院」(民主文学9月号)

     これは小説ではない、作文である。それでも、主人公が吐血して病院に運ばれるあたりは読ませた。なかなか表現力があった。ただその表現が作品全体のなかでは浮いている。何のためにそこにその描写があるのかわからない。そこで表現されたことがあとの物語と繋がってこないのだ。 とりわけ大場の描き方がよくない。こんなに素敵な人物なんですよとこれでもかこれでもかと書いても、大場は実在の人物ではない、作中人物なのである...

  • 仙洞田一彦「ヒルズ」(民主文学9月号)

     仙洞田さん、これはいけないよ、全国誌に載せる作品じゃない。 それでも最初の何ページかは、仙洞田さんらしい軽快でユーモラスな文体で、これは面白くなりそうだぞ、と愉しみながら読んでいたんだ。ところがどこまで行っても意味のない会話がだらだらと続いていくので途中で飽きてしまった。 内容は何もない。笑劇としたらキャラの設定を間違えてるよ。金持ちがひとつも金持ちらしくない。そこらへんのゴミ捨て場から何億円か...

  • 竹内理論

     22年も前の本を今頃取り上げたについて、20年間ほとんど冬眠状態にあったぼくが、いわばウラシマ状態で、すっかり流行遅れなのは認めざるを得ない。書いたあとネットで検索してみたら、井出薫という人が、10年近く前に「竹内久美子はトンデモ本である。アダルトコーナーかユーモアエッセーコーナーに置いてほしい」として、一例として彼女の「美人論」を反駁している。おそらくこれが現代の常識なのであろう。竹内理論に対する基...

  • 宮崎駿アニメ「風立ちぬ」

     笹本氏の「ものたりない」という評でかえって観る気になって観てきた。 ぼくは単純だから、単純に感動した。もっとも堀辰雄を読んだのは半世紀前だし、堀越二郎は読んでない、それにアニメへの期待度はもともとそれほど高くない。 宮崎駿はつくづく空を飛びたい人だ。ただ池澤夏樹を気にしたわけでもなかろうが、今回菜穂子は空を飛ばなかった。最終場面で完全にナウシカの顔になって少し飛んだようでもあるが。ふんだんに幻想...

  • 虐殺証拠写真の件

     日本軍による虐殺証拠写真を古本屋通信さんが捨てた件について、今日、通信さんの文を読みました。証拠写真は大量に出版されており、図書館にも古本屋にも十分にあるそうです。したがって何枚か捨てても全く問題ではないとのこと、納得しました。知らなかったので、失礼しました。お詫びします。...

  • 「はだしのゲン」

     松江教育委員会が残酷場面を口実にこの漫画を学校図書館で閉架措置にした。口実だということは見え透いている。右翼の脅迫に負けたのだ。 これに関連して、古本屋通信さんがかつて日本軍の虐殺写真を捨てたと書いていることの間違いを指摘せねばならない。 直接体験者、目撃者が次々亡くなっていく中で、写真は貴重な証拠である。 日本軍の虐殺も天皇の戦争責任もなかったことにしようとしている者たちを論難する上でも、また...

  • 物語と思想(「揺れる海」)

    「民主文学」9月号の新船海三郎による文芸時評は、大江健三郎と多和田葉子の最新作に触れたのち、8月号の3作品を評している。能島龍三、草薙秀一のそれぞれの作品についても多少読み方の差異を感じないではなかったが、いま両作品を読み直す余裕がないので、最も強く違和感を持った青木陽子「揺れる海」評についてのみ若干感じたことを述べる。 今回新船氏の批評に抱いた違和感を確認したいと思って、「揺れる海」と、新船氏が...

  • 読者の皆さんへ

     当分、夏の行事が忙しくて、書く時間がありません。10日ほど後にまたお会いしましょう。...

  • セクハラ

     偶然だが古本屋通信がセクハラに関する記事を書いている。2名の実例について、事件当時かなりネットを追跡したらしく、それをもとに氏の結論を書いている。情報を具体的に分析した記事ではないが、セクハラ問題というのが判断の難しい問題だというのは伝わってくる。 先月の「まがね」例会が、望月笑子の新人賞佳作作品「無機質な腐敗」をめぐってセクハラ問題で見解が割れたので、一度まとめてみたいと思っていた。どこまでま...

  • 拍手に感謝

     今日、11時に、11個の記事に拍手を打ってくださった方、どなたか存じませんが、感謝します。拍手もコメントもさっぱり入らないので、いやになってもう止めようかと思っていたところです。つまらない記事は無視されて結構ですが、もし少しでも感じるところがあったら、拍手、コメントを頂けると励まされます。ありがとうございました。...

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