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2013年07月のエントリー一覧

  • 「1Q84」

    「1Q84」について12枚書いたが、あまりに散漫なのですべて没にした。 代わりに読直後に書いた2010年の日記から引用する。この方が多少ましな気がする。 2010年10月25日「1Q84」を読了した。文章はうまい。話の運びも、人物描写もうまい。レイモンド・チャンドラー張りの、ハードボイルド。センテンスが短くて、読みやすい。翻訳もしやすいだろう。ユーモア感覚に優れている。随所で笑える。比喩がとてもいい。使い古されてない...

  • 「無機質な腐敗」再読

     小説には、こうでなければならないという決まりはないから、これも小説であると言われればそうなのであろう。ただ従来の小説の概念には当てはめにくい。 従来の小説は、文章によって疑似現実空間を創りだし、それを読者に体験させてきた。 ところがこの作品にはそれがない。作者ははただ思いつくままにあれこれと脈絡のないことを書きならべていく。 どちらかと言えば、エッセーふうである。エッセーは疑似体験させない。言葉...

  • 内田樹から、吉良よし子を考える

     23日付朝日の「オピニオン」で、内田樹が今回の選挙結果に対して悲観的な文章を書いている。 要点は以下のごとし。「統一性の高い3党が勝ち、分裂気味の他党が負けた。国民が決められない政治を嫌い、内容を問わずに、行け進めを選んだ。国民がせっかちになり、民主主義に懐疑的になった」(筆者による要約) たしかに、自民党は小選挙区と政党交付金以来、派閥と長老の力が衰え、執行部の権力が強くなった。公明党と共産党と...

  • 「霧の中の工場」再読

     読み直してみると、なんとなく、しみじみとした味わいがある。 組合結成の話という選評にひきずられて読んだのが間違いだったかもしれない。 これは組合の話でもなければ、企業小説でもない。30代半ばのさえない一労働者の周辺に起こった出来事の、いわば一種の風景描写とでも言おうか。 風俗小説という感じ。 だが、そのためにいちばん大事なことは何年の出来事かをはっきりさせることだった。風俗の移り変わりは早い。時代...

  • 参議院選挙結果について

     遅まきながら、今回の選挙における共産党の復活について、党員諸氏にお祝いを述べる。 日頃共産党の悪口しか書かないが、支持者の端くれである。 支持しているのはやはり政治の現状に不満だからだ。今回自民党が圧倒的に勝利し、野党(特に民主党)が総崩れだが、自民党と同じかもっと悪い野党がいくらいても、我々の生活はよくならない。小なりといえども共産党が健闘すれば、必ず与野党によい影響を与える。彼らも世論の風向...

  • 誰に宛てて書くのか(「揺れる海」)

     今回、「ユニオン!」再読の感想を書きながら、頭のもう一方の隅でいろいろ考えていたこと、それはまた諸作品について書いた記事へ寄せられた意見からもずっと考えていたのだが、たとえば、青木陽子の「揺れる海」について書いた時、こんな意見が寄せられた。「この作品では一人称がくるくる変わる。敦史を〈僕〉として書き出しながら、50ページの*から52ページの*までは紗弥加の視点である。そこからさらに、視点は紗弥加に置...

  • 「ユニオン!」をめぐって

     ぼくはひとつの作品を二度読むということはまずない。読書速度が遅い上に、あまり読まないまま年老いてしまったので、余命を考えると読みたい本の多さに焦りばかり覚えて、どうしても次々と読み捨てていくことになる。 で、常に第一印象で感想を書く。書いておかないと忘れてしまうということもある。 今回合評会のために「ユニオン!」を再読した。そのあと、前に書いた自分の感想を読み直してみた。ほぼ違和感はない。 ただ...

  • 「ロリータ」

     ロリータコンプレックスはロリコンと略されて日本語として定着してしまったが、原作を読んだ人はその割に多くないのではなかろうか。 かなり読みにくい本である。 もっとも、そう感じたのは、この本を読んだのが、昼間の労働に疲れ果てて寝着く前の睡眠薬代わりとして、半分居眠りしながら、一晩に数ページ、何日もかけてきれぎれにだったので、そのせいもあるかもしれない。 作者ナボコフはロシア人、1899年生まれ、ヨーロッ...

  • H・G・ウエルズ(1866-1946)

     いままた、ウエルズが輝いて見える。後世のSFのネタのすべてを一人で生みだしたと言われるウエルズだが、まさにそのとおり、しかも駄作がひとつもない。(佳作だけが翻訳されたのかもしれないが)。すべてがわくわくするほど面白い上に、人間性の洞察、文明批評の鋭さ、百年も前の作家とは思えない。 わけてもいま最も注目すべきは「タイム・マシーン」だ。 主人公はタイム・マシーンに乗って80万年後の未来へ出発する。出発...

  • 太田昌国

     朝日新聞の「オピニオン」にはときどき面白い記事が載る。17日付では左右の二人を並べている。右翼、一水会代表木村三浩は、現代の世相の中に置くと「これが右翼?」と思ってしまうほどの高い見識で注目される。 一方「拉致異論」の太田昌国の苦渋に満ちた発言には、同じ立ち位置の者としての共感を覚える。タイトルは「自己批判できない左翼の敗北」である。 多少理想主義的なきらいはある。矛盾と欠陥に満ちた弱小政党とはい...

  • ウェスカーからどこかへ

     ウェスカーに少し触れる。ただし話がそこからどこへ転がっていくかは分からない。 永年忘れていたこの劇作家の名が、稲沢潤子と村上春樹のおかげで最近ちょくちょく頭を横切っていく。 アーノルド・ウェスカー、1933年、ユダヤ系ハンガリー人を父としてロンドンの貧民街に生まれた。高等教育を受けることなく職を転々として、60年ころ、「調理場」を含む3部作でデビュー。68年には来日して、日本でもブームとなった。ぼくが読ん...

  • 「聖痕」および、井上、桜作品

     14日付の朝日新聞で、水無田気流という人が「聖痕」について、よい批評を書いている。はじめて聞く名前だが、肩書は詩人・社会学者とある。まさにそれ自身、(短いのだが)、詩でもあれば、社会批評でもあるような内容である。作品を独自の角度から論じつつ、その論証に社会的な客観性と、イメージの豊かさとを持たせている。このようなものはぼくには書けない。 このブログ上で様々な作品を論じてきたが、結局いずれも読後感想...

  • 吉良よし子

     このブログを訪問してくださっているのはごく限られた人々だけれど、その人々に、ぜひ「吉良よし子」のページを開いて、You Tubeの画像を見ていただきたい。共産党は奇跡的な才能をゲットした。この困難な時代を生きる若者たちの前に現れたジャンヌ・ダルクである。 共産党に最も欠けていた世論へのアッピール力を十全に備えた才能の出現だ。 政治家に不可欠な能力はさまざまあるが、アッピール力がなければ、どんな才能もむな...

  • 中核派の檄文

     中核派の檄文を読みかけたが、途中で阿呆らしくなってやめた。21世紀の日本で、いまだにこんな貧しい檄文しか書けない連中だけには権力を握らせたくない。 中東の革命ではっきりしたのは、革命よりも革命後の方がずっと大変だということだ。どんな体制からの革命かよりも、どんな体制への革命なのかということの方が重要だということだ。 完全に行き詰まってしまった社会に対しては、まずそれを打倒して、どんな社会を築くかは...

  • 草薙秀一「翔太の夏」(民主文学8月号)

     いじめを庇ったせいでいじめられ、遂に逆襲に出て、ビビった相手を今度は逆にいじめる。そんな自分が嫌なのに、いじめられた時の屈辱感が頭を去らず、泥沼に陥る。いじめの道具に使われた蟻を見るとたまらなくなって、これを皆殺しにする。この小学五年生の心理はよく書けている。逆襲に出る場面や、狂ったように蟻に襲いかかる場面の描写には迫力があった。 この五年生は賢い子で、自分の心理と行動の矛盾に気づいており、いず...

  • 青木陽子「揺れる海」(民主文学8月号)

     これは最高に面白かった。感動もさせてくれた。 文章が完璧だ。職業作家の文章である。敦史(31歳)と紗弥加(もうすぐ30歳)との会話を軸に物語が展開していくが、短いセリフのあとにこれまた短いコメントが付く。そのコメントが実に洒落ていて、読者を和ませる。 特に変わったことを書いているわけではない。二人の両親や祖父母や、それにまつわる人々の現在や過去の話が自然と日本現代史につながっていく。二人はいわばその...

  • 能島龍三「生きる」(民主文学8月号)

     労働を描いた作品を読むのは好きだ。電源車リース会社の25歳の労働者の話である。 九州での女性アイドルグループのライブ照明の準備中に、若い労働者が墜落して死に、その直後、何事もなかったようにライブが実施される場面の描写には臨場感があった。 また首都高で過労から居眠り運転に陥り事故の間際まで行く場面にもスリルがあった。 ただ気になるのは、労働が何となく肯定的な扱いを受けていないように思えること。 もち...

  • 蓮池 薫 「拉致と決断」 新潮社

     ここに書かれているのは、自らの意思に反して北朝鮮で24年間を送らねばならなかった著者の体験報告である。 その内容は大別して二つ。① 当局は著者をどう扱い、それに著者はどう対応したか。② 北朝鮮庶民の生活実態。  著者と、(結婚してからは)その家族とが暮らしたのは、招待所と呼ばれる施設で、ここには情報関係者や外国人といった秘密保持上世間と隔離する必要のある人々が労働党中央委員会の直接の指揮下で暮らしてい...

  • 「週刊ポスト」による都議選結果評

    「週刊ポスト」の都議選結果についてのコメントは、言葉使いにはかなり共産党への悪意が見えるが、その内容は常識的ではあるにせよ、まず妥当なものと言えよう。この結果が、安部自民党独裁を止めるべき野党がどこにもないという絶望の果てだというのはそのとおりだ。共産党は4年前の都議選得票より8万票減らしているが、去年12月の総選挙東京比例票より14万票増やしている。即ち、70万→48万→62万である。もろもろの野党に期待し...

  • 3.11と文学

     7月1日付の朝日俳壇で、俳人片山由美子が、宇多喜代子の話を引用している。転記する。「子供のころ、空襲で一瞬にして命を失った人を目撃した記憶が脳裏に刻みつけられ、その恐怖から逃れるのにどれほど時間がかかったか。近年ようやく、戦争を俳句に詠めるのではないかと思い始めている」 この話に続けて片山は3.11について次のように言う。「尋常ではない体験や苦しみは人を沈黙させる」「語らないという意思を貫いている人...

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