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2012年09月のエントリー一覧

  • 朝 2

     軽四で寮へ帰ってくると、水曜日であることに気づいて作業着を洗濯した。一週間に二度、水曜と土曜に洗うことにしていたのだ。そのあいだに部屋で新聞を読んだ。新聞を読みはじめると面白くてきりがないが、その日は前の日曜日に買ってきた新しい推理小説の中の一冊を読みはじめる予定にしていたので、新聞の方は早めに切り上げようと思い、できるだけとばして読んだ。ときどき立っていって、洗濯機の水を替えたりした。それが終...

  • 朝 1

     朝方、ちょっともめた。司会が集会の終りを宣言して壇から降りかけていたが、人々は整然とした幾筋もの列を作ったまま、すぐには動きださないでいた。いちばんうしろにいた別所は、ふりむいて歩きはじめたとき、二本線が自分を見ているのに気がついた。別所がいぶかしげな視線を返しながらすれちがおうとすると、二本線はつと伸ばした手を別所の肩においた。別所よりもやや背が高かった。黒い線を二本ひいたクリーム色のヘルメッ...

  • 幽霊

     祖母が死んだ。私が田舎へ帰ったときには、祖母はすでに墓の中だった。その日から、幽霊は毎日出た。昼のあいだじゅう出た。居間の縁近くの、古い井戸に水を汲みにきて、重そうな桶をかかえて、勝手の方へと運んでいった。いくらも経たずに戻ってきたとき、桶は片手にぶらさがっていた。縁のすぐ前で背中を丸めて、幽霊はゆっくりとつるべをたぐった。小さなつるべが上がってくると、こぼさないように慎重な動作で桶に移した。そ...

  • つまらない話

     ときどき、ぼくは思うのだが、ぼくの友人の奈須二郎ほど不精な人間を探し出すためには、よほど世間が広くなくてはかなうまい。 とはいっても、ぼくは、なにも、独身寮の彼の部屋が汚いだとか、彼は靴下というものをはいたことがないだとか、そんなみみっちい話をいちいちとりあげるつもりは毛頭ない。元来、独身寮は汚いものと相場がきまっているし、奈須が靴下をはかないのは、たぶん不精のせいではない。雪のちらつく、凍てつ...

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