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カテゴリ:批評のエントリー一覧

  • 中 寛信「どこにもいなかったこと、どこにでもいたということ」 (「民主文学」21年8月号)

     今月号は、どれもそれぞれに印象的だったが、ひとつひとつ取り上げる余裕がないので、お許し願って、この作品にだけ少し触れたい。 前回に引き続き、感動的な作品。「連作2」となっているので、次に続くのだろう。こういうものは連載よりも読みやすい。関連を持ちつつ、一作品ごとに完成品となっている。 連載はそうではないので、ひと月置くと次が読みづらくなる。今回いくつかの連載をまとめて読んで、連載も読んでみればな...

  • 高岡太郎「廻り道」(「民主文学」21年5月~8月)

     読み終えて、少し戸惑っている。 連載が始まったとき、かなり期待した。 製鉄所の話である。ぼくの人生の舞台だ。しかもぼくはその底辺をうごめいただけだが、この小説の主人公は京大を出た幹部候補生である。出世街道をひた走っている。ひた走りつつ、すでに第1回で挫折の予感をにじませている。たいへん興味深い出だしだった。 そのあと労災事故をごまかそうとする部分が、読んでいて怖くなるほどの迫真の描写で書きこまれ...

  • 旭爪あかね「世界の色をつかまえに」(遺稿集「こんなときこそ」所収 壺中庵書房2021年)

     注文していた「こんなときこそ」が届き、気になっていた「世界の色をつかまえに」をやっと読むことができた。 思った以上に、鮮烈な作品だ。3百枚を一気に読んだ。当時の「民主文学」編集長森与志男をして、分載するような作品ではない、一挙掲載したいと言わしめたのももっともだ。たしかに途中で切るような作品ではない。森氏の審美眼にも納得する。 時代的には1990年代である。ベルリンの壁が崩れ、ソ連が崩壊し、東欧の激...

  • 「民主文学」作品論

    「民主文学」誌上の、評論家による掲載作品評に違和感があるので、このブログで個人的な評を書き始めた。反論を期待したが、もともと読者の少ないブログだから、あまり来なかった。 どこかで誰かが「民主文学」誌掲載作の評を書いてないかとネット空間を探したが、これといったものは見当たらない。 むしろ「民主文学」誌上に短いが個人的な感想をちらちら見かける。そのなかに、三富建一郎「引き継ぐべきもの」の「静江」像が印...

  • 馬場ひさ子「朝食」(「民主文学」21年7月号)

     素晴らしい作品だ。こういう作品に出合えると、「民主文学」を読んでいて良かったと思える。 チェーンのファミレス風食堂。6時から開店している。主人公はそこで早朝パート4時間(5時~9時?)フロアスタッフとして働いて15年、65歳くらいの女性「平さん」。 チェーン店の常としてコストダウンを迫られ労働条件は厳しい。ただし、そういう状況を書くのは最初だけだ。それをさっと書いてしまうと、あとは常連客を一人一人描...

  • 高田三郎「辻邦生『真昼の海への旅』を読む」(「民主文学」21年6月号)

     読み応えがあった。辻邦生を一冊も読んでいないので、当否は言えないのだが、関心を持たされた。相当入り組んだ話のようで、内容紹介に大きくページを割いているのだが、それでもかじる程度にとどまる。けれども紹介された範囲内で、この小説が70年前後の過激派学生運動のパロディであるとする評者の見解をなるほどと思わせる。作家自身は、自作を多く語る人なのに、この作品については語っていないのだそうだ。 紹介された内容...

  • 梁 正志「荒草の道」(「民主文学」20年12月~21年7月)

     大阪の、未解放部落に隣りあった朝鮮人部落に住む子供たちの物語。母親は京都西陣の織屋の娘で日本人なのだが、朝鮮人の靴職人と結婚した。その夫は自分の工場を持って羽振りがよくなってくると浮気するようになり、母親はそれを嫌って子どもたちを連れて家を出た。小学4年の男の子と来年学校に上がる女の子だ。やんちゃな男の子と、好き嫌いの激しい、言い出すと聞かない女の子と、この二人の日常が丁寧に描かれて、とりわけ女...

  • 和田逸夫「ウィングウィング」(民主文学」20年10月~21年4月)

     連載の1回目で、おや、面白そうだなと思ったのだが、月1の連載というのは、どうしても手が出なくなる。でも気になっていたので、遅まきながら、連載終了をきっかけに、1回目から通しで読んだ。 感激した。少年読み物風なのだが、文章がしっかりしていて読みやすいし、キャラクターの書き分けもうまい。単に個性的というのではなく、地についている感じ。一人一人が割り切れないところを持ったままなのだ。すべてを書ききらな...

  • 何度も書くが「モチーフ」

    「民主文学」の今年の新人賞の選評で、二人の選者が「モチーフ」という言葉をただ単純に創作動機(もしくは創作衝動)というくらいの意味あいで使っている。 何度も書くが、この言葉のこういう使い方に対して強い違和感がある。ほかの文芸誌をまったく読んでいないので、ぼくの認識は違うのかもしれないが、ときたま新聞の文芸時評やその他の機会に見ることのある、民主文学以外の作家、評論家の使うこの同じ言葉「モチーフ」が、...

  • 三富建一郎「引き継ぐべきもの」(21年度民主文学新人賞佳作)

     タイトルがよくない。小説のタイトルではない。これではだれも読みたいと思わない。しかし、思わなくても読んでみるべきだ。これはすごい小説である。「民主文学」の誌上でこういう作品にめぐりあえることはめったにない。 新人賞はかなり前に読んだのだが、面白くなかったので、忙しさもあって、佳作にはなかなか手が伸びなかった。一段落してまず、「バルハシ湖」を読んだ。新人賞よりはずっと良かった。最後に当作品を読み始...

  • 「民主文学」21年4月号

    上村ユタカ「偽物」 若い世代特集にふさわしい、勢いのある作品群になった。 この巻頭作はとりわけ注目だ。 コロナ禍で孤立する大学生を描き出して深みのある作品となっている。 シュールな作品なのだが、それが生きているのは、日常生活の描写がリアルだからだ。大学生らしく、オンライン授業の模様が丁寧に描き出されている。最初はなんのことはないような生活が次第に異常化していく様子に説得力がある。 よくわからないと...

  • 朱戸アオ「リウーを待ちながら」講談社コミックス全3巻2017~2018年

     このタイトルでピンとくる人はカミュのファンだ。もちろん、「ペスト」の主人公医師リウーである。そしてこのタイトルは、(じつは読めてないが)サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を踏まえているのだろう。 コロナの直前に、コロナを予言したかのように現れた漫画作品。 富士の裾野の小さな市に、ペストが襲いかかる。そこからの展開はカミュの「ペスト」をなぞるように進んでいく。随所に「ペスト」の名言が引用...

  • 薄井雅子「せめぎあう虚実」(「民主文学」21年5月号)

     これはぜひ読んでほしい。アメリカ在住者ならではの、アメリカ問題への複雑で確かな目を感じる。エンゲルスからの引用が面白かった。「僕のアメリカ人観がまちがっていなければ、その運動の壮大さと同時にまた、彼らがやってのけるあやまりの途方もなさでわれわれみんなをびっくりさせるはずだが、そのあやまりによって彼らは苦労しながらも、最後には明確さを得るだろう」 当時のヨーロッパ人が新大陸に抱いた複雑な気持ち、ヨ...

  • 「民主文学」21年5月号

    杉山まさし「遺句稜線」 自ブログ内を検索すると、この人とはずっと前に少し言葉の行き違いがあったようだ。そのときもぼくは作品をほめているのだが、冒頭の1ページをまるまる要らないと書いたことが上から目線だと言われた。下から目線の批評なんてないだろう。(ちなみに、その当時にいただいたコメントがすべて消えているが、これはとんでもなく長いコメントを寄せて来る人がいて、コメント欄がわけがわからなくなったので、...

  • 宇佐見りんから

     今期芥川賞受賞作、宇佐見りん「推し、燃ゆ」について、主人公のキャラクターと文体とがマッチしていないという指摘があった。 たしかに、この主人公は学校でもバイト先でも家庭でもダメな女の子で、それなのに主人公の一人称の文体がしっかりしすぎている。これだけ自分で分かっていれば解決できそうなものだ、と感じさせられるところはある。 しかし、よく見れば、主人公の書いているブログの文体がそもそもしっかりしている...

  • 野里征彦「ジュラシック・パーク」(「民主文学」21年3月号)

     作者自身が主人公であることがはっきりしている小説で、でありながら主人公の名前は西野である。「作者自身が登場しながら、わざわざ名前を変えるのはなぜか」とつい最近書いたばかりだが、この小説に関しては、そういう疑問を持たなかった。そしてなぜ持たないのだろうと考えながら読んだ。 主人公は西野でも野里でもどちらでもよいという気がした。つまり、西野が作者であろうとなかろうとこの小説には何の影響もないと思えた...

  • 大浦ふみ子「かたりべ」(「民主文学」21年3月号)

     朝鮮人被爆者を中心人物にして、たまたま親しくなった青年英語教師が、資料を読み解いて彼の背景に迫っていく物語。 実際には作者自身が、相当な資料を渉猟して得た知識と、当事者たちとのかかわりのなかで得たものとが材料になっているのだろう。資料部分にも読み応えがあり、一方では、当事者の一筋縄ではいかない複雑な心理的問題と、それと相対する日本人青年との相克に、解決の難しい複雑な現実をも突きつけられる。これは...

  • ロビンソン・クルーソー

    ダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」鈴木恵訳 新潮文庫 2019年久米穣訳 ジョルジョ・スカラート絵 講談社 国際児童版 世界の名作3 1982年 この本は夜眠る前にだけ読んで、昼間は違う本を読むつもりだったが、だんだん何も進まなくなったので、半分くらいから昼間も読んでようやく読み上げた。 文庫本で500ページ、子供のときの記憶とはまるで違う。主人公は27年間を無人島で生きる。そこに到達するまでがかなり...

  • 「ドリームガールズ」2006年

     圧倒的に黒人ばかりで、白人がほとんど登場しない映画。60年代に実在した女性歌手グループがモデル。 じつは俳優たちの顔の見分けがつかなくて、ストーリーがよく把握できなかった。ジェニファー・ハドソンが主役と思っていたら、ビヨンセが主役だったのだそうだ。ジェニファーの歌唱力が圧倒的で、存在感がものすごく、主役を食ったと言われ、助演女優賞を獲得した。オーディションで選ばれるまでは無名だった。 黒人ラジオ局...

  • 東 喜啓「米寿の帰島」(「民主文学」21年2月号)

     小説としては全体に未熟さを否めないが、問題提起に耳を傾けるべきものがある。 奄美の島民の薩摩藩への武装抵抗も、ベトナム人のフランス、アメリカとの戦いも、そのときにはやむを得ざる戦いだったとしても、現時点で無条件に賞賛すべきものとばかりは言いかねるのではないか、という提起である。 作品のなかでは、それぞれ別の人間から別の機会に言われた言葉として、「私」のそれまでの常識に対して、ガツンと一発食わせる...

  • 原 健一「絵を描くハルモニ」(「民主文学」21年2月号)

     この人が韓国で日本語を教える話は、何年も前に読んだ記憶がある。今回は従軍慰安婦問題だ。小説というよりもルポ的だが、もちろんそれが悪いわけではない。「ナヌムの家」の紹介記事となっており、慰安婦問題で取りざたされている俗説に対して多少反論できる内容となっている。短い作品だからすべてが究明できるわけではないが、具体的に接する機会を持てた内容をこうして紹介していくことは必要なことだ。 若い日本人女性「日...

  • 続「不思議な学校」

     きのうの記事に補足する。 生徒たちの竹取物語をめぐる討論のなかで、物語の発生動因として、記録と夢の二つが挙げられていた。それが竹取にふさわしいかどうかは別にして、この指摘は単なる生徒たちの思い付きを離れて、一般的に示唆するものがある。 我々が書くのも、一方では現実の記録であり、もう一方では現実を抜け出す夢なのではないか。この作品自体もあるいはそういうことかなとも思わせる。 ヒッタイトについては、...

  • 宮腰信久「不思議な学校」(「民主文学」21年2月号)

     たしかに不思議な学校だ。その在り方には読者をひきつけるものがある。同時に、こんな学校が存在できるのか、という疑問もわいてくる。主人公自身も、読者の疑問を代弁するかのようにつぶやく。つぶやくが、それでも現実に存在しているかのように描かれている。読み終わってみると、あまりに破綻がなさ過ぎて現実感に乏しく感じる。主人公の疑問をもっと膨らませるとか、失敗例を挙げるとか、小説的な企みが必要だったのかもしれ...

  • ロビンソン・クルーソー

    「ロビンソン・クルーソー」は、眠る前に布団のなかで読むだけだし、最近は布団に入るとすぐ眠ってしまうので、なかなか前に進まない。でも、少しずつは進んでいる。孤島に漂着して、すでに3年目に入った。と言っても20年間そこで暮らしたのだから、まだまだこれからだ。 漂着するまでの話がけっこう長かった。島に着いてからは、座礁した船から必要な物資を運ぶ話、外敵に備えて砦まがいのものを建設する話、食料調達の話、島の...

  • 「民主文学」21年1月号

    「民主文学」1月号の短編6篇はみな読んだが、それぞれの感想は勘弁してもらいたい。いろいろなものを読んだり、書いたり、その他雑用もやたらと多く、なかなか感想を書くところまでいかない。ただ、最初の2編が特に面白かった。横田昌則「花のない風景」と斎藤克己「樹樹」である。 横田作品は最後のどんでん返しが効いていた。ややエンタメ的な誇張した表現は読者によって異論のあるところかもしれないが、リアリズム一辺倒で...

  • 「異邦人」という衝撃

    「異邦人の読み方」を何度書いても、決定的な何かを書き忘れている、という感じがついてまわる。この小説に何も感じないという人たちの心を動かすことができていないのだ。結局、ぼくの論述はそういう角度からのものとはなりえていないように思える。 50年前、我々はこの小説に衝撃を受けた。だが、この小説のいったい何に衝撃を受けたのか。きょう、ふと、そんなことを考えた。そうだ、そういうところから考えていかねばならない...

  • 「民主文学」20年12月号

     11月号も全部読んで、それぞれに面白かったのだが、中寛信作品に圧倒されて、他の作品の感想は書けなかった。池戸豊次作品もいい味わいだったが、これは傑作「水のまち」のイメージが強すぎて、読者のがわがそこから抜け出せない。 というわけで12月号。支部誌・同人誌推薦特集。 優秀作と、ほかに4作品が掲載されている。 平良春徳「寸借詐欺」と勝手三郎「闇」が傑作だ。「闇」はラストを失敗した。決着まで行くのが困難だ...

  • 中 寛信「何もないこと、全てがあること」(「民主文学」20年11月号)

     高校教師を定年退職して、日本語教師として中国に赴任する話。前半と後半に分かれている。中国の大学は8月末から始まる。日本語科なのだが、日本人教師を必要とするのは、1、2年生だけで、3、4年生は中国人教師だけのようだ。少なくともこの話には日本人は「私」一人だけである。中国語をまったく知らずに一人で中国人の海に飛び込んでいる。 通訳が付く。前半は劉紅薇という4年生の女子大生。やがて年を越えて2月になる...

  • ダニエル・デフォー「ペスト」 平井正穂訳 中公文庫

     やっと読み終えた。文庫本だが、440ページある。もっとも、最近の版だから1ページが17行しかない。行間が広くて読みやすい。(ぼくの「異邦人論」は22行で発注してしまった。せめて20行にすればよかった) 読みやすいと言っても、セリフがなくて、すべて地の文だから歯ごたえはある。段落替えもあまりない。そのうえ章だてがない。最初から最後までずらずらと全部つながっている。文字がびっしり詰まっている感じ。もっとも、...

  • 「鉄道員」

     恥ずかしながら、初めて観た。名作だという評判はむかしから耳にしていたが、観る機会がなかった。予期した以上の名作だった。 1956年の製作。鉄道員の家族を描きながら、あらゆる問題が詰まっている。子どもの視点で描いたのがうまい。深刻な問題をたくさん取り込みながら明るい作品に仕上がっている。 第二次大戦の荒廃から立ち上がろうとするイタリアを、一場のオペラのように描き上げた。 その映像美とあいまって、なるほ...

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