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 ・「コンパクト」「鉄砲百合」そして「八月の遺書」 ・「民主文学」1920年1月号 ・ムルソーとはなにか ・カメル・ダーウド「もうひとつの『異邦人』ムルソー再捜査」  鵜戸 聡訳 水声社 2019年 2200円(税込) ・「異邦人」と「もうひとつの異邦人」 ・池戸豊次 「水のまち」 一粒書房 2019年 1500円 ・「民主文学」2019年 11月、12月 ・井上淳評(図書新聞) ・松本清張 ・高原さんへの質問 言葉の定義について ・今村夏子「むらさきのスカートの女」161回芥川賞 ・高原氏への若干の疑問 ・「検察側の証人」 続き ・映画「情婦」 ・10月号 続き ・「民主文学」19年10月号 ・田中伸一「敗戦の姿」 ・倉園沙樹子「絹子の行方」評 図書新聞 越田秀男 8月31日 ・住宅顕信「未完成」春陽堂 平成15年初版一刷 令和元年初版二刷 ・「民主文学」19年9月号 ・「谷間」「いいなずけ」 ・「かわいい女」 ・「往診中の出来事」 ・「イオーヌイチ」 ・「中二階のある家」 ・「犬を連れた奥さん」 ・スタニスラフスキー ・カズオ・イシグロ ・クリスティ ・「かもめ」追補 ▼もっと見る

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カテゴリ:批評のエントリー一覧

  • 「コンパクト」「鉄砲百合」そして「八月の遺書」

    「コンパクト」と「鉄砲百合」が面白かったというコメントをもらったので、読み返してみた。その感想を書く前に、能島龍三「八月の遺書」に、ひとこと触れたい。これも読んだときは引き込まれて読んだのだ。ところが一月以上経って内容を忘れていた。今回まだ読み直してはいないが、めくっていて内容を思い出した。もう一度読むつもりだが、これは重要な作品である。従軍看護婦が中国での生体解剖に加担した、させられた、という重...

  • 「民主文学」1920年1月号

     50年前に読んだ本は細かいところまで思い出せるのに、きのう読んだ本の内容を思い出せない。これはすでにれっきとした事実だから、承認するしかないのだ。 読んだ本の感想を書くのは、それゆえの備忘録だ。ところが自分の書いた感想すら忘れてしまい、挙句、感想を書いたということまでも忘れてしまう。 悔やんでいてもしょうがないので、先へ進もう。野里征彦「わが心、高原にあり」 連載第1回。<意識はとっくに戻っていた...

  • ムルソーとはなにか

    「異邦人」に対する人々の反応にショックを受けている。反発するというのならまだわかる。どうやら関心を持てないらしいのだ。「これが世界の名作? なんで?」という反応である。ここまでとは思わなかった。あまりに衝撃的で、自分自身を「異邦人」と感じてしまった。 歓迎してくれると思っていたわけではないが、落差の大きさに、うまく言葉が出てこない。どう解説してよいのかわからない。 考えてみると、この作品を受け入れ...

  • カメル・ダーウド「もうひとつの『異邦人』ムルソー再捜査」  鵜戸 聡訳 水声社 2019年 2200円(税込)

     名作である。カミュのファンにはぜひ読んでほしい。「異邦人」を、ムルソーに殺されたアラブ人の側から書きなおしたものだ。「異邦人」そのもののフレーズとイメージで埋めつくしつつ、しかも、それを裏返し、アラブ人の物語として成立させた。「異邦人」が半世紀以上にわたって避けがたく持ち続けた、たったひとつの傷を、この作品がみごとに修復した。この二冊はセットで読まれるべきだ。 今日、マーはまだ生きている。 と、...

  • 「異邦人」と「もうひとつの異邦人」

     ずっと抱えていた諸々にいちおう一区切りついたので、「異邦人」を読み直した。若い頃に何度か読んだが、最後に読んでから40年以上になる。土曜日に「まがね」で取り上げるので、久しぶりに手にした。 むかしは少しでも小説に興味を持っている人で「異邦人」を読んでいない人を見つけるのは難しかったが、いまの人はわりと読んでいない。どういう感想が出るか、まったく予期できない。 いま読んでもやはり名作だ。何百年経って...

  • 池戸豊次 「水のまち」 一粒書房 2019年 1500円

     収録作品「鹿を殺す」25ページ「春の獅子」29ページ「水のまち」39ページ「憂いの王」69ページ「寒晒し」 40ページ 合計   202ページ ページ数はそれぞれの作品の(タイトルを除いた)所要ページ数。400字詰め換算では全体で283枚とあとがきに書いてある。ページ数の4割増しくらいが400字詰め換算枚数だろう。 それぞれを完結した短編としても読める。連作作品なので、全体をひとつの中編小説として読むこともできる。 ...

  • 「民主文学」2019年 11月、12月

     11月号は全部読んだのだが、2ヶ月近く経って内容を忘れてしまった。どれも面白かったという記憶はある。だが、記憶力が著しく減退している。請御容赦。 最上裕「波濤の行方」だけは少し印象が残っている。これは前作「オルモックの石」の続編ともいうべき作品で、前作ではオルモックで戦死した伯父の行方を追って、防衛庁まで出向いて資料を探す、という執念の作品だった。今回はそれをフィクションに仕上げている。捜す過程では...

  • 井上淳評(図書新聞)

    〈老〉と〈死〉を根底・視座とする文学群――〈老〉を根底とする天野律子(「黄色い潜水艦」)・野上志乃の小説(「りりっく」)。親族のいない老人の〈死〉を描く井上淳の小説(「まがね」)。〈死〉を凝視する本多寿の詩(「サラン橋」) 井上淳の「死ぬまでの日数を数えてみた」(まがね第61号)に、老いて目前に迫る死をどう迎えるかを考えさせられた。戸田は膵臓に腫瘍がある。余命四か月。七十七歳。定職に就かず、独身。親...

  • 松本清張

     旅のひまひまに、清張を二冊読んだ。膨大な本を書いている著者を二冊だけで評するわけにはいかないが、とりあえず感じたことをメモしておく。 今回読んだ一冊は、「点と線」である。じつはこれはいちおう再読だ。いちおうというのは読んだのが中学生のときで、60年前、たぶん出版直後のことだからで、ほとんど内容の記憶がないからだ。 覚えているのは冒頭の部分、二本の線路の向こう側にあるホームを見ることができるのは一日...

  • 高原さんへの質問 言葉の定義について

     <事実を、あるものの全て、すなわち客観的世界と人の観念に、ある 存在、関係(運動)の全体とする> とても全体を読める段階にないので、部分的な指摘になって、たいへん申し訳ないのですが、指摘というよりも、質問であると捉えてください。 部分的に質問しますので、部分的にお答えください。 上記の言葉を読ませていただいて、高原さんの書くものがなぜ理解できないのかが分かったように思いました。高原さんは言葉の定義...

  • 今村夏子「むらさきのスカートの女」161回芥川賞

     そもそもぼくは日本の小説を(外国の小説も)ほとんど読んでいないし、芥川賞なんか読んだことはないので、それがどういう位置づけであるのかもよくわからない。一覧を見るとごくたまに、読んだ本や、読んだ作家が見える。70年前後はわりと読んでいる。そのあとバッタリご無沙汰して、ほとんど名前も聞いたことのない作家ばかりだが、この10年間は飛び飛びでも読んでいる。 だいたい「文芸春秋」で読む。単行本より安いし、雑誌...

  • 高原氏への若干の疑問

    批評 - コメント(13) - トラックバック(0) - 2019/09/18

    (このブログでは箇条書きがうまく反映されないことを忘れていました。ぼくのパソコン上で訂正しても、他の機器ではやはりもっと見にくくなるだけと思うので、このままいきます)(20日から30日までブログもメールも一切確認できませんので、ご了解ください) 高原さんから「未完成の哲学ノート」と題するぶあつい本が送られてきた。半年前に初版が来たのだが、それに重ねて、最近第四版が届いた。 初版と四版との相違点もわから...

  • 「検察側の証人」 続き

     クリスチーネは(原作ではロメインだが)一人二役を演じる。映画で気になったのは、これをどう処理するのかということだった。小説ではなんでもないことだ。薄暗い部屋に弁護士を招じ入れて、腰の曲がった、ぼさぼさ頭の、スカーフで顔の輪郭を隠している年寄り女、下品な言葉使い、貧しく、散らかった部屋、などを書いておいて、この女がもともと女優だったのだと示唆するだけでいい。 ところが映画ではそう簡単ではない。同じ...

  • 映画「情婦」

     BSで「情婦」を観た。タイトルのところで、アガサ・クリスティの名前が見えたので、クリスティで「情婦」とはあれかなとチラッと思った。じきに老弁護士が登場したので、これは間違いないと確信した。「検察側の証人」である。「検察側の証人」は先日テレビドラマで観たのだがさっぱり面白くなかった。あまりにも原作のイメージと違いすぎた。原作はごく短い作品なのだが、騙すほうも騙されるほうもしゃれているのだ。テレビドラ...

  • 10月号 続き

    「民主文学」10月号で、菊地 大という90歳の人が、鶴岡征雄の本の感想を書いている。このなかで、その本にも収録された2月号の「千切られた日記帳」が、著者周辺で話題になったと書いている。 記憶にあったので、読み返してみた。恋愛小説だが、好短編だ。60年代半ばのことを書いているが、時代を大仰に書くわけではない。あくまで個人的体験だ。しかしそれがみごとに時代を表現している。 この作家についてほかになにか書いて...

  • 「民主文学」19年10月号

     紫野咲葦女「百歳万歳の日まで」「零地帯」の紫野咲葦女が亡くなった。ご冥福をお祈りします。 この人は「零地帯」2号に「秀男の宝物」という小説を書いている。中学生の男の子が東京から名古屋まで自転車で旅をするという話である。その行程の難航苦行ぶりを、見てきたように生き生きと書いている。読ませる作品であった。もっと読者をつかむタイトルに替えることもできたのに、と惜しい気がした。 今回1925年生まれと聞いて...

  • 田中伸一「敗戦の姿」

    田中伸一「敗戦の姿」「敗戦の姿」 三好十郎 火野葦平 坂口安吾 太宰治 埴谷雄高 武田泰淳 堀田善衛「伊勢シングの闇」 中上健次 三島由紀夫 姜尚中 徐京植 幸徳秋水 堺利彦 大杉栄 大石誠之助 中江兆民 島田三郎 田中正造 内村鑑三 荒畑寒村 田中伸尚 沖野岩三郎 平出修 菅野スガ 石川啄木 徳富蘆花 高木顕明 森近運平 「クレーン」でこの人の「敗戦の姿」を読み、感銘を受けて編集者への手紙のなか...

  • 倉園沙樹子「絹子の行方」評 図書新聞 越田秀男 8月31日

     『絹子の行方』(倉園沙樹子/民主文学7月号)――なんとか自立に近い日常をおくる独居老人「絹子」は、地域行政の〝自立を促す〟とかいう勝手な都合で、自立的日常を奪われ、息子夫婦の家に引き取られる。そのストレスが認知症スパイラルへ。最初の兆候は、夜中にゆで卵が無性に食べたくなる! この作品、瞠目すべきは、認知症の進行を外部観察により捉えるのではなく、絹子の内側から意識の崩壊過程を描き切っているところだ。...

  • 住宅顕信「未完成」春陽堂 平成15年初版一刷 令和元年初版二刷

     ずぶぬれて犬ころ 若さとはこんな淋しい春なのか 読み終えてとりあえず記憶に残っている句は二つだけだが、読んでいるあいだはどれも心を拍った。 自由律俳句。575でなくていい。季語も要らない。短く言いきってそこに万感の思いを込める。だが、特に記憶に残ったのが、575で季語もあるというところに、俳句の伝統も思ってしまう。 15歳で調理学校に入学し、同時に働き始める。卒業していくつか職を替わったあと、市役...

  • 「民主文学」19年9月号

     台風が来て今年の盆が終わった。思い起こしてみると、ぼくは盆という言葉を20歳くらいまで知らなかった。正月は学校が休みになるし、餅を食べるので、わかる。盆の時期というのは夏休みのそろそろ終わりごろで、何の変わりもなく、やらずに来た宿題の期限が迫って焦り始めるころ、という以外に何の感慨もない。働き始めて初めて、盆というものがあるらしいと知った。 ともかく終わった。今年も泳がなかった。残念だが、さりとて...

  • 「谷間」「いいなずけ」

     チエホフの短編集一冊を10日ほどかけて読んだ。これがいまのぼくの読書スピードだ。もっとも40年前の文庫本だから、活字も小さく、紙も黄ばんでいて、目も衰えているので読みにくいということもある。新しい本を買いに行けばよいのだが、暑いし、本屋は遠いし、車はないし、金もないしで、がまんしている。「谷間」はけっこう長い。400字詰めにすれば百枚くらい。「いいなずけ」はちょうどその半分くらいだ。 チエホフの小説を読...

  • 「かわいい女」

     きょうは「かわいい女」を読んだ。この暑苦しい日々を、77年版の活字も小さい、紙もすでに黄ばんでいる文庫本で、衰えた眼をして一生懸命読んでいるのは、外へ出ていく元気がないのと、「コスモス」が、読めば読むほど駄作としか思えなくなって、やる気を失ってしまったからだ。名作を読めばよけいに自分の作品が駄作に見えてくるが、でもここから脱出するにはやはり名作を読むしかないだろう。 チャンドラーにも「かわいい女」...

  • 「往診中の出来事」

     チエホフは戯曲の達人であるとは思っていたが、散文においても達人であるとは知らなかった。「可愛い女」と「退屈な話」とは若いころから好きだったが、それは作品の内容に対してであって、特に文章を味わったわけではなかった。 今回チエホフの短編集を読み進めるごとに、その文章の味わい深さに驚嘆している。もっとも翻訳だから、訳者(小笠原豊樹)の功績なのかもしれないのだが、それもあるだろうけれど、つまりはあるべき...

  • 「イオーヌイチ」

    「イオーヌイチ」を読んだ。これも風変わりな作品。 今度の主人公は医者だ。「下っ端坊主の息子で、田舎医者」と表現している。この表現はほかの作品にも出て来たが、どの作品だったか思い出せない。チエホフ自身が貧乏人の出身だから、主人公はたいがいそうなのだ。それが才覚で小金を稼ぎ、上流階級に出入りしているという人物が多い。したがって常に冷めた客観的な目を持っている。 ある田舎の上流家庭に出入りする。そこの主...

  • 「中二階のある家」

    「中二階のある家」を読んだ。その昔チエホフ全集の第1巻で学生時代の習作などを読む間には、なんでこういうものを読もうとしなかったのかと悔やまれる。これもすごい短編だ。チエホフは日露戦争のころに44歳で死んだ。漱石は少し年下で、日露戦争のころ、40歳くらいで書き始めた。ちょうど入れ替わるような感じ。しかし小説の完成度で言うなら、漱石はとてもチエホフには勝てない。 だが、これもおかしな小説で、主人公は画家で...

  • 「犬を連れた奥さん」

    「犬を連れた奥さん」をやっと読んだ。「やっと」と言うのは、昔からずっと読もう読もうと思っていて、どういうわけか読みそこなっていたからだ。 今回手にしたのは、「かわいい女」ほか何作か入っている短編集で、新潮文庫の77年ものだ。小笠原豊樹の訳。ぼくが「かわいい女」を読んだのは60年代のことで、湯浅芳子の訳で読んだから、別の本だ。いま探したら、岩波文庫69年の「可愛い女・犬を連れた奥さん」が出て来たが、神西清...

  • スタニスラフスキー

    「かもめ」の初演が大失敗で、客席から失笑が漏れるほどで、絶望したチエホフが二度と戯曲は書かないと言ったというのも、二年後スタニスラフスキーの画期的演出で一躍大盛況を博したというのも有名な話だが、考えてみると、スタニスラフスキーがいなければ「かもめ」も「三人姉妹」もいまの世になかったのかもしれない。 いい作品が誰にでも理解されるとは限らない。理解者が現れなければ、ずっと眠ったまま死んでしまうこともあ...

  • カズオ・イシグロ

     カズオ・イシグロは妻が読んだので我が家に二冊ある(「遠い山なみの光」「わたしを離さないで」)のだが、ぼくはまだ読めてない。読まなくちゃと思うのだが、読むものが多すぎて順番が来ない。 映画は(テレビでだが)ふたつ観た。「上海の伯爵夫人」は10年以上前に、「日の名残り」は今回観た。 執事を主人公に置きながら、第一次大戦から第二次大戦の間のヨーロッパの政治事情・社会事情が手に取るようにわかる。主人の客間...

  • クリスティ

     クリスティのテレビシリーズがまた始まったので先日から見てがっかりしている。 前回のシリーズとは全然違う。まったく面白くない。こんなシリーズを目にした人はクリスティを読まないだろう。 前回のはよかった。ポアロ役からしてまったく違う。ポアロの滑稽な役どころが今回まったくない。なんだか深刻な顔をしている。 画面が暗い。役者の顔がほとんど見えない。顔も見えないようでは役者が出てくる意味がない。顔も暗いし...

  • 「かもめ」追補

     何点か書き洩らしたので補充する。 ニーナとトレープレフは明らかに主役なのだが、その登場場面はそんなに多くない。マーシャやメドヴェージェンコやドールンのほうが多い。ニーナとトレープレフはその合間にときたま登場するだけである。にもかかわらず主役である。今回読んでいて、これが少し不思議だった。 あと、自信満々のトリゴーリンだが、彼も駆け出しのころ貧乏で苦労した様子を語っている。 第三幕。「若いころは雑...

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