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まがねとおる

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カテゴリ:批評のエントリー一覧

  • 「民主文学」20年8月号

     田島 一「閉ざされた日から」についてはすでに書いた。あとの3作について書く。どれもそれぞれに印象的な3作だったのだが、少しくたびれているので、なるべく簡単に済ませたい。高橋英男「もう一つの顔」 小さな診療所の65歳の女医の話。すぐれた医者で、地域に密着した親切な医療を心がけ、患者たちの信頼を勝ち得、とりわけ若いお母さんたちが子供を連れてくる。小児科的な存在となっている。 小児科というのは一番たいへ...

  • 中村文則

    「カード師」にペストが現れたのがいつ頃だったかと思って自ブログを検索したら、3月だったから、コロナを頭に置きつつ書いたのだろう。それをいつ発想したのかはわからないが。 中村文則名の検索には、4年前の朝日オピニオン欄での中村の文章への共感が出てきた。そのとき中村が何を書いていたのか、もはやまったく思い出せないが、1990年代後半以後の日本人の変質についてと書いている。中村はまだ40そこそこだから、10代から...

  • 中村文則「カード師」

     朝日新聞は日刊で中村文則「カード師」、土曜版で桜庭一樹「火の鳥」をすでに1年近く連載している。「火の鳥」は辛抱強く読んでいたが、かなり前にとうとう投げ出した。絵のない漫画はやはり読めない。漫画には絵が必要だ。漫画は文章で読ませるものではない。「カード師」は欠かさず読んできた。欠かさず読んでも、記憶力が相当減退しているので、全体像は頭に残らない。もともとあまり脈絡のない小説だ。トランプ賭博や、タロ...

  • 田島 一「閉ざされた日から」(「民主文学」20年8月号)

     本とパソコンを前にして、うなっている。どこから書き始めるべきか。 ともかくぼくは日本文学をほとんど読んでいない。だから、(この小説とは関係ないが)「日本文学の伝統がどうこう」などと言われると困ってしまう。そんなもの、ぼくにはないのだ。 ぼくは古典もまったく読めていないが、源氏物語のあらすじくらいは知っているし、それが世界最初の小説と言ってもよいほどのものだということもわかる。しかし、それは結局そ...

  • 中村泰行「ル・クレジオ」 渥美二郎「ジョゼ・サラマーゴ」          (「民主文学」20年8月号)

     昨日の乙部宗徳の「ペスト」と3つ並べて「パンデミック小説特集」である。 ル・クレジオの名前を久しぶりに目にした。乙部氏が高校時代に読んだというヌーボーロマンの代表的な作家、ぼくも2冊買ったと思うのだが、結局1冊目の途中で挫折した。挫折なのかな、面白いと思って読んでいたのだが、忙しくなって中断したきり、そのままになって50年経った。本棚に残っているかどうか探してみなければわからない。 今回中村氏が取...

  • 乙部宗徳「カミュ『ペスト』再読」(「民主文学」20年8月号)

     きょう届いた「民主文学」8月号で、乙部宗徳が「ペスト」を中心に、カミュと「ペスト」の全体像を、見事に要約している。ごく短い文章だが、的確である。 著者は高校時代にサルトル、カミュ、ヌーボーロマンを読み、サルトル―カミュ論争も把握、カミュの私生活と、フランスのレジスタンスについても押さえたうえで論じており、短くても目配りが利き、要所をとらえている。一読を薦める。 ぼくのほうはと言えば、いまやっと「...

  • たなかもとじ「乳房」(「民主文学」20年7月号)

     いい話なのだが、少し詰め込みすぎていないか。つぎつぎと話が動いていくので、読者は駆け足でついていくような感じにさせられる。もう少し余裕を持たせて、ひとつひとつのシーンをじっくりと味わわせてもらうわけにいかないか。 小説は文学であり、文学は芸術であるとするなら、絵画や音楽と同じように、味わわせるべきものだろう。急ぎ足では味わえない。たくさんのことを書きすぎた。 なぜそうなったかと言うと、ほんとうの...

  • 井辺一平「闇の刻」(「民主文学」20年7月号)

     驚いた。「民主文学」侮るべからず。 多少、おかしな言葉遣いもあるが、全体(かなり長い)が、そのまま一編の詩である。詩情が漂っている。読み始めたらやめられない。心に沁みこんでくるものがある。 描かれたものは老夫婦の悲惨ともいうべき現実なのだが、そこに豊かな抒情が流れていて、驚かされる。 深夜2時、認知症の上に足を骨折した妻は、ベッドに横たわっている。同じ80代の夫は、その横に布団を敷いて付き添ってい...

  • 朝鮮人

    「朝鮮人」という言葉を避けて、「朝鮮の人」と呼んでいたというコメントをもらった。たしかに、覚えがある。れっきとした国名や民族名が、一時的な歴史の経過によって、差別語とされてしまう。「言葉」というのは怖いものだ。もともとは単なる空気の振動に過ぎないものが、人々の間で交わされる間に意味を持ち始める。その意味がゆがまされていく。 草薙氏、新船氏、それぞれにそう扱わざるを得ない必然があるのだろう。結論の出し...

  • 井上通泰「晩秋」(「民主文学」20年7月号)

     これはよかった。満足した。でも途中では何度か引っかかったのだ。 筑波山ろくの風景とそこでの主人公の生い立ちから書きはじめながら、主人公の継母の介護の話になだれ込んでいくので、あの書き出しは何だったのか、と最初のひっかかり。 ところがそこから、今度は主人公本人の血圧の話になっていく。自覚症状はないのに、血圧が上がっていく。それで血圧上昇の原因を求めて一か月遡る。医者との対立があった。継母の大腸検査...

  • 中村恵美「光のきざはし」(「民主文学」20年7月号)

     漆に関するうんちく部分は興味深かった。この作品でどうにか書けているのはそこだけなのだから、それをもっと本格的に書いてほしかった。主人公の女子高校生は何に悩んでいるのかさっぱりわからない。その少女の一人称なのだが、文章にそういう感じがしない。せっかくライトノベルの研究をした人なのだから、ライトノベルふうに書けとは言わないけれど、それなりのムードは作ってほしかった。霜月が近づいたかと思うと、春休みが...

  • 新船海三郎による、草薙秀一「大阪環状線」批判(「民主文学」20年7月号)

    「民主文学」7月号は、表紙に評論を二つ並べている。ひとつは先日ふれた瀬戸井誠の品田悦一「大伴旅人のメッセージ」批判、そしてもうひとつを昨日読むと、新船海三郎による、草薙秀一「大阪環状線」批判であった。 てっきり誉めているのだと思っていたら、ふたつとも批判なので驚いた。新船海三郎は久しぶりの登場ではないか。 内容は在日朝鮮人問題である。その呼称に関し、設定されている時代と合わない、という指摘だ。 草...

  • 太宰治

     このブログの訪問者はいつも10人前後で、訪問履歴も残さず、拍手もコメントもしないのが通例なのだが、この数日どういうわけか、拍手が続いている。拍手というのはいい加減な機能で、本人がいくらでもサクラ拍手をできるようになっているのだが、もちろんぼくはしていない。拍手は嬉しいから結構なのだが、どういう方がどういう理由で拍手するのか気になる。 何年も前の記事に拍手が付いたりしたときは、たぶんそこで扱った対象...

  • エッセーと小説

     ふと思ったが、「播州平野」がエッセーとして書かれていたら、ぼくは不満を述べなかっただろう。もちろん、何度も言うように50年前の記憶で言っているので、違うかもしれないのだが、エッセーとしてなら素直に受け入れただろうと思うのだ。それを小説だと主張されるので、違和感が生じる。 ある人が、「あそこにはフィクションも書かれている。だからエッセーではない、小説だ」と言った。嘘を書きさえしたら小説なのだとしたら...

  • 木村陽治「堀田善衛のまなざし」(2)(「零地帯」3号)から思ったこと

     (1)で「広場の孤独」を紹介した木村陽治は、(2)ではその後の小説を取り上げる。「歴史」「時間」の2作をざっと紹介した後、「記念碑」「奇妙な青春」という連作を取り上げて詳しく説明している。ちなみに「歴史」は中国の戦後の動乱を書き(堀田善衛は敗戦間近に日本に絶望して中国にわたり、戦後もしばらく中国にいた)、「時間」は南京虐殺を書いている。 そして「記念碑」「奇妙な青春」は、1944年から47年に至る、つ...

  • 木村陽治「堀田善衛のまなざし(3)」(「零地帯」4号)

     かなり前に読んだのだが、ここで取り上げるのは、このなかのマダガスカルに関する記述が、サルトルの「アルベール・カミュに答える」で触れられた部分と照応しているからだ。木村陽治氏によると、 1959年に出た堀田善衛の「河」という作品のなかに、次のような部分がある。 1958年の夏、堀田善衛はエジプトにいた。そのときカメルーン人のエコロが、こういう話を持ち出す。「1947年、マダガスカル島で8万人の人間が、フランス...

  • サルトル「アルベール・カミュに答える」

     サルトルの「アルベール・カミュに答える」は1952年に書かれ、以後二人は絶交状態のまま、1960年、カミュは交通事故死してしまう。47歳。KGBによる暗殺説もあったようだ。 カミュの死後サルトルは愛情あふれる追悼文を書いている。だが、52年に書いた文章は、ずいぶん容赦ないものだ。 もっとも冒頭とラストでは、やはりとどめようもないカミュへの賛美と愛情を表現しているのだが、その二つに挟まれた中身は皮肉に満ちている...

  • サルトルの「異邦人解説」

     ずっと気になっていたサルトルの「異邦人解説」を読んでみた。ぼくが持っているのは、1973年の改訂版だ。人文書院「シチュアシオンⅠ」。つまりシチュエーション、状況。サルトルの評論集である。「シチュアシオン」は何冊か持っていると思っていたが、いま見ると、このⅠとⅣの2冊しかない。Ⅳを開いてみると、それもカミュがらみだ。「アルベール・カミュに答える」これはどうやら二人が激しく言いあっていたときのものらしい。も...

  • 糟屋和美「暴風来たりて」(「ふくやま文学」32号)

    「民主文学」7月号の支部誌同人誌評で岩崎明日香が「ふくやま文学」32号から、糟屋和美「暴風来たりて」を取り上げてくれた。かなり詳しい紹介になっている。早速コピーして「ふくやま文学」の会長に送った。「民主文学」は支部の集まりだから支部誌が優先されるのは当然だが、毎回一つだけでも、支部誌以外から拾ってくれれば、新たな関係を切り開くことにもなるだろう。「樹宴」18号が無視されたのは残念だが、やむを得ない。誌...

  • 20年度民主文学新人賞

    [受賞作] 宮腰信久「孤高の人」[佳 作] 中 寛信「病院で掃除のアルバイトをするということ」 読者はもちろんそれぞれだが、ぼくは、佳作のほうに強く惹かれた。 文体の魅力というものを、存分に感じさせてくれる作品である。独白体なのだが、饒舌調というのとも違う。途中で一カ所「このレポート」と書いているが、たしかに報告文という趣きを持っている。つまり、饒舌調にありがちな自己心理へのこだわりというのではな...

  • 「党生活者」のこと

    「流木通信」の記事に触発されて、「民主文学」3月号の評論を読んでみた。 久野通広「手塚英孝と小林多喜二」である。「民主文学」の評論はほとんどプロレタリア作家が対象で、ぼくはプロレタリア小説を読んでないから、論を読んでもわからないから読まないのだが、多喜二だけは多少読んでいる。 評論は多喜二全集を編むことにほとんど全生涯を賭けた手塚英孝の功績を書いている。多喜二の作品は発表されたものも検閲による伏字...

  • 北原耕也「陸のカモメ」(「民主文学」20年5月)

     最後に当たり籤が残っていた。これは名作だ。よい作品については何も言いたくないという気持ちになる。言葉にすると感動が逃げていくような気がする。じっと味わいたい作品である。 でも、それだけで済ますわけにはいかないので、少しだけ書く。 単純に字数を400で割ると50枚くらいの作品であろうか。年代設定は東北の津波から8年、2019年、現在である。主人公秋芳は「大学に進んだおかげでバブル崩壊に遭遇し定職から見放さ...

  • 読者としての感想

     ここ二三日、ぼくの作品論は極端にきつくなっているように思える。久しぶりに名作を二つ再読したせいで、小説を見る目が厳しくなっているのだろう。人の小説だけではない。自分の小説にも、最近ちょっと嫌気がさしている。おれはこんなに下手なものを書いていたのか、という感じ。 誉め殺しという言葉がある。誉められて進歩する人もあれば、誉められて満足してしまい、それで終わってしまう人もある。 だから、誉める人あれば...

  • 高橋篤子「ガレ場の蝶」(「民主文学」20年5月)

     これは文章巧者の作品である。民主文学はだいたい高齢の女性に文章の達者な人が多い。男はどちらかというとぎこちない。 流れるような文章で、つまずくようなところがない。長年書き込んで身についているのだろう。 その人が少し突飛な構想で書いた。主人公は33歳の女性なのだが、それを高齢男性の視点で書いている。 なぜそういう視点でなければならないのか、その理由がわからない。 というのは、この視点がかなり揺らいで...

  • 満吉栄吉「三日月」(「民主文学」20年5月)

     小説というものは奇妙なものだ。上手な作品が面白いとは限らない。下手な作品が面白くないとも限らないのだ。 あまりの下手さに、何度も読むのをやめようと思った。それでも我慢して読んでいると、だんだん面白くなってきた。 めちゃくちゃな文章である。書いていることが支離滅裂で、筋が通っていない。職人技としては失格である。だが、芸術というものは必ずしも職人仕事ではない。 熱と勢いがあるのだ。めちゃくちゃなのだ...

  • 「ペスト」を読み終えた

    「ペスト」を読み終えた。素晴らしいとしか言いようがない。ちゃんとした感想はまた今度書くとして、きょうは、あまり作品そのものと関係ないことを書く。 66年版の新潮文庫上下2冊各100円=全200円で読んだ。 線引きがすごい。いたるところに線を引いている。そして書き込んである。その書き込みがどうも見当はずれで、いま読むと笑ってしまう。66年10月の印刷だから、すぐ読んだとしても、すでに20歳になっていた。授業にも出...

  • 秋吉知弘「ヨブが見た空」(「民主文学」20年5月号)

    「ペスト」を読んでいる途中だが、とりあえずこれだけは読んでおこうと思って手にとった。 読み終えて、さて、どう書こうかと思いあぐねている。 新人賞受賞第1作ということで、去年の支部誌推薦作と勘違いした。渡部唯生「歴史の吐息」である。この作品と非常によく似ている。安保法案国会があり、たたかいの盛り上がりがあり、その前で足踏みしている若い主人公があり、70年前の戦争の記憶があり、そしてキリスト教がある。て...

  • 「ペスト」を読んでいる

     ぼくは「ペスト」文庫本上下分冊の「上」をやっと読み終えたところだが、妻は後で出た文庫一冊本を読んでいて、ほとんど読み終わったらしく、「なんでタルーまで殺すん、バカ」と言って泣いている。タルーというのは、医師リウーとならんで副主人公クラスの登場人物だが、妻のハートを射止めたらしく、カミュが彼をペストで死なせてしまったのを怒っている。 ともかく「ペスト」は登場人物が豊かだ。キャラクターを巧みに描き分...

  • 青山次郎「ほうとう」(「民主文学」20年4月号)

     書き出しはよかったのだ。仙洞田作品の書き出しに苦労したあとだったので、こういうふうに、いきなり主人公が動いてくれれば読みやすい、と読みながら勝手にうなずいた。主人公のうきうきしている冒頭を読めば、「はあ、これは希望が絶望にかわる小説だな」というのはすぐわかる。それをわからせるような大げさなうきうきぶりで、コメディタッチの小説なのだと思って読み始めた。 どこに転がっていくかさっぱりわからない小説と...

  • 仙洞田一彦「餓鬼の転職」(「民主文学」20年4月号)

     結果から言えば面白かったのだが、冒頭の数ページは難儀した。仙洞田さん、どうしちゃったの? という感じ、いつもの仙洞田小説の切れがない。ごたごたしている。何度も中断してため息をついた。 第二章に入ってがぜん面白くなった。ストーリーが動き始めたのだ。 結論から言うと第一章は全部要らない。第二章から入る。もっと言えば、本屋での出会いから始めてもいい。そこから物語はスタートするのだ。そこまでは物語のため...

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